理想の彼女 (ページ26)

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ライブ収録当日

僕の歌を楽しみに来てくれたファンの歓声がステージ袖まで聞こえる。

歓声を聞くとボルテージが一気に上がって、普段の自分とは違う人格になれる。

音楽とともにステージにあがり、歓声を聞きながら
気持ちよく歌い、2曲目の途中で見つけてしまった

楽しそうに手を上げて揺れているAさんを。

一瞬、歌詞が飛びそうになったけど
どうにか気持ちを立て直して歌に集中する

できるだけ彼女の方を見ないように
考えないようにしていても
どうしても視界に入ってしまう

今回はファンクラブ限定のライブのはず。
彼女はファンクラブに入ってた？

そんなこと一度も聞いてないけど…
ジョングクと友達だったから
もともと入ってたのか？

口から出てくる歌詞と頭の中で考えていることは別々で、こんなところは器用なんだなって冷静でいる自分に少し驚いた

MCの時間になり、乾いた喉に水を流し込んで息を吐く。

チラッと彼女の方に視線を向けると
目が合って、彼女は小さく手を振った

頭を下げそうになったけど、彼女は他の子たちと同じ立場でここに来てるから
視線を外してマイクを握った。

それからゲストアーティストを迎え入れたり、
アルバムに込めた思いをみんなに伝えたり
RMとしてやるべきことを必死にこなした。

その後も歓声とみんなの熱気がさめないままライブ収録が終わった。

Aさんの事が気になりながらも、声をかけることができないから、楽屋に向かった。