そよ風と金木犀【TH】 (ページ34)

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テヒョンさんと別れ、彼の上着をソファに置く。

車から降りるときに上着を返そうとしたけど、テヒョンさんが頑なに受け取ってくれなかった。

クリーニングに出すべき？

興味本位でどこのブランドか確認すると
「BURBERRY」だった。

『これは絶対クリーニングだ…』

私はブランド物にあまり興味がないけど、
やっぱりアイドルは普段着もオシャレなんだなぁってカーディガンを持ち上げたら
ふわっと彼の匂いがした。

匂いまでオシャレ…

クリーニングに出したら、この匂いは消えちゃうのか…

そんなことを考えてしまってる自分に気づいて恥しくなった。

テヒョンさんは優しくて素敵な人。

彼は誰にでも優しい人だろうから、ドライブしたくらいで変な勘違いしないように自分自身に釘を差した。

…はずだったのに、
あれから更に頻繁に連絡が来るようになって、
正直戸惑っている。

近々コンサートがあるらしく、
練習やトレーニングが忙しいって言ってるわりに
メールや電話はよくかかってきた。

TH「今週末にコンサートがあるんだ。」

『そうなんですね。お忙しいでしょう？』

TH「うん、最終打ち合わせも終わったし
あとはリハーサルして…って感じかな。」

『毎日お疲れさまです。
コンサート、成功するといいですね。』

今までアイドルのコンサートに行ったことがないから、どれ程大変なことなのか分からないけど、
電話口のテヒョンさんの声を聞くと
準備も本番もきっと大変なんだろうって伝わった。