そよ風と金木犀【TH】 (ページ31)

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『写真撮っちゃおっかな。』

鞄の中からマイカメラを取り出した。

TH「カメラ持ってきたの？」

『せっかく出かけるならと思って…』

持ってきたのはキヤノンのEOS Kiss M。

TH「可愛いカメラだね。」

『この子、見た目もかわいいけど、機能も凄いんですよ！
APS-Cセンサーがついてて、常用で最大ISO感度は25600なんです。
さらに手持ち夜景モードまでついてるから、夜景撮影にも向いてるし、夜ならコレかなって……………
って喋りすぎですね…』

オタクモード全開になってハッとした時にはもう遅かった。

テヒョンさんはビックリした顔で私を見て黙っている。

やっちまった…
完全に引いてる。

気まずくて手元のカメラを触るふりをした。

TH「僕にも撮らせて！」

『…え？』

顔をあげると、少年のように目を輝かせたテヒョンさんがいた。

TH「そのハイスペック機能付きカメラで撮ってみたい！」

『い、いいですよ…』

テヒョンさんにカメラを手渡すと、
嬉しそうに触り始めた。

TH「ライカとはまた違う感じで面白いね。」

『そうですね。
カメラって奥が深いから
ハマったら抜け出せないです。』

TH「ふふ…そうだね。」

撮影している姿を眺めていたら、だんだん体が冷えてきた。

この人、夢中になっちゃうと長いんだった…

前回の公園での撮影を思い出し、周りを見渡すと
自動販売機の光が目についた。

温かい飲み物でも買ってこよう

夢中で撮影するテヒョンさんに気づかれないよう
そっとその場から離れて自動販売機に向かった。