07 Final episode ページ8
「なぁ、A。」
こっち向いてや。
治はわたしの手に絡めた指先を手首へ動かすと、自分の方へ倒れるように引き寄せた。
肩を抱かれて、優しく促されるがままに振り向けば、焦茶色の丸い瞳と視線が合う。
「俺と付き合ってくれへんか。」
真っ直ぐに見つめてくるその瞳に囚われたように、わたしは身動きが取れなくなって。
「・・・お前が欲しくてたまらんねん。」
ぎゅう、と肩を抱く力が強くなる。
『・・・治。』
「うん。」
『・・・正直に言うとね、少し戸惑ってる。』
「・・・うん。」
焦茶色の瞳が不安気に揺れる。『でも』とわたしは言葉を区切った。
『・・・治が作ってくれるご飯、毎日食べたいな。』
"Aが望むんやったら毎日朝昼晩作ったるで。"そう言ってくれた彼に甘えたいと思った。
この先もきっと色々なことがある。その時隣にいてくれる人がいるのなら、治がいい。ずっと一緒に過ごしてきた彼だから、これから先もそばにいてほしい。
「・・・・・・・・・ほんまに?」
『うん。だから、』
その言葉を言い切る前に、唇に柔らかな感触が触れた。ゆっくりと離れていく治の顔。「すまん。」と謝る彼の顔は、幸せに満ち溢れていて。
「夢やないよな?」
『夢じゃないよ。』
治はふにゃりと笑うと、もう一度口づけをした。本当に幸せそうな表情をしている。それがものすごく愛おしくて。
彼はとろけそうなぐらい優しい目でわたしを見つめると、ゆっくりと。大事なものに触れるように頬を撫でる。
「A。」
『なに?』
「俺は一生手放さへんからな。」
『・・・うん。』
そう言うと治は幸せを噛み締めるように。先程よりも深くて長いキスをした。
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なお - ごっつい好きなんやけど、、、やっぱり、ヤンデレって最高!! (4月20日 9時) (レス) @page11 id: 4ebc7ce81e (このIDを非表示/違反報告)
かつどんちゃん。(プロフ) - よう。さん» コメントありがとうございます!沢山の作品の中からこのお話を見つけてもらえて嬉しいです😊 (4月9日 22時) (レス) id: 45cf3ca804 (このIDを非表示/違反報告)
よう。 - ドタイプの作品見つけた…!!天才ですね…(笑) (4月9日 22時) (レス) id: df66def1dc (このIDを非表示/違反報告)
かつどんちゃん。(プロフ) - 赤羽さん» そう言っていただけて嬉しいです!コメントありがとうございます😊 (4月9日 9時) (レス) id: 45cf3ca804 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 - クッッッッッッッッ!!‼‼‼‼神作だッッッッッッッッッッッ (4月7日 23時) (レス) @page9 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かつどんちゃん。 | 作成日時:2024年3月17日 8時