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「おい、家着いたで。」
『んー・・・』
「・・・しゃあないなぁ。」
すると治は外に出ると、助手席のドアを開けた。彼はわたしのシートベルトを外すと、両手を伸ばして「降りてこい。受け止めたるわ。」と言ってきて。
わたしは回らない頭でゆっくり身体を動かして、治に飛び込むように車を降りる。
するりと治の首に手を回すと、「持ち方変えるで。」と言われたと思えば、横抱きに向きを変えられた。
「・・・軽すぎん?ちゃんと食っとるんか?」
『振られてから2キロ太った。』
「じゃあ元が軽すぎたんやな。」
ゆったりとした足取りで部屋に向かう治。揺れと体温が相まって、次第にわたしは眠くなって。でもふと揺れが止まると、眠気は自然と消えた。
「着いたで。鍵出しぃ。」
『・・・・・・ん。』
ゆっくりと地面に降ろされると、バックから鍵を出してドアを開けた。玄関まで入って、治の方へ顔を向ける。
『治。』
「なんや。」
『お茶飲んでいかない?』
「・・・・・・いらん。寝ろ。」
『おっけぇ。じゃあおやすみ。』
そう言ってドアを閉めようとすると、何故か大きな手がそれを遮った。
『・・・治。ドア閉めれない。』
「A。」
『はぁい。』
ゆっくり上を向くと、真剣な表情をする治と目があった。彼はわたしの手を取ると、指を絡ませてくる。なんだかこそばゆかった。
「俺だって男や。」
『でも治は友達でしょ?』
「せやなぁ。でも俺にとってはそうでもないんやで?」
『・・・・・・え?』
熱が籠った視線。その視線に耐えられなかったわたしは、絡まる手を離そうとした。なのに彼は逃がさまいと手を握ってくる。
「・・・ずぅっと我慢してんねん。」
彼の指が私の指に緩く絡んでは離れていく。
「・・・・・・なぁ。」
顔にじわりと熱が集まるのを感じる。
「こっち見てや。」
『・・・・・・ぅ』
知らない。こんな治、知らない。
わたしが知ってる治は、こんな声で話さない。普段はもっと淡々と話すのに。今はまるで蜂蜜のように甘い。
「なぁって。」
大きな彼の手がゆるりとわたしの頬を包み込む。促されるままに顔をあげると、治と視線がかちあって。彼の瞳からひりつくような熱が見える。
『お、おさむ。』
「ずぅっと好きやってん。」
『・・・・え』
「なぁ、明日もまた店来てや。」
そう言って遠ざかる背中を、わたしはただ見つめることしかできなかった。
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なお - ごっつい好きなんやけど、、、やっぱり、ヤンデレって最高!! (4月20日 9時) (レス) @page11 id: 4ebc7ce81e (このIDを非表示/違反報告)
かつどんちゃん。(プロフ) - よう。さん» コメントありがとうございます!沢山の作品の中からこのお話を見つけてもらえて嬉しいです😊 (4月9日 22時) (レス) id: 45cf3ca804 (このIDを非表示/違反報告)
よう。 - ドタイプの作品見つけた…!!天才ですね…(笑) (4月9日 22時) (レス) id: df66def1dc (このIDを非表示/違反報告)
かつどんちゃん。(プロフ) - 赤羽さん» そう言っていただけて嬉しいです!コメントありがとうございます😊 (4月9日 9時) (レス) id: 45cf3ca804 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 - クッッッッッッッッ!!‼‼‼‼神作だッッッッッッッッッッッ (4月7日 23時) (レス) @page9 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かつどんちゃん。 | 作成日時:2024年3月17日 8時