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『ねぇ治。』
「なんや。」
『いい男紹介してよ。』
「・・・お前なぁ。」
彼は呆れた顔でええ加減にせえよと言うと、わたしが持っていたジョッキを下げた。
『待ってまだ飲む。』
「今日はもうここまでにしとき。飲み過ぎや。」
『いや飲む!』
「はいはいもう店閉めるで。家まで送ったるからそこで待っとき。」
そう言うと治は店の奥へと姿を消した。静かになると、チクタクと時計の針の音や、奥から聞こえてくる物音がはっきりと聞こえてくる。
『送ってもらうのは悪いもんなぁ・・・』
お店の片付けもあるのに、家まで送ってもらうのはあまりにも申し訳ない。わたしはお金だけ置いてお店を出た。
冷たい風が肌にあたる。秋の夜は寒い。ぶるりと身を震わせながら、おぼつかない足取りで駅に向かう。
『・・・う』
止まったはずの涙がまた溢れてきて、彼氏のことが本当に好きだったんだなぁと思った。まあ好きじゃなかったら5年間も付き合っていないだろうし。
涙を腕で乱暴に拭っていると、「待てって言ったやろ」と焦ったような声とともに、腕を掴まれた。
「それ以上はあかん。目赤くなるで。」
『・・・治ぅ・・・』
「終電もう間に合わんやろ。俺が車で送ったるわ。」
そう言うと、彼は自分が着ている上着をわたしの肩に掛けて歩き出した。
腕を掴んでいた手はするりとわたしの手の上へ重ねられる。さすがモテる男は違う。
『・・・治。』
「なんや。」
『ありがとう。』
「・・・ん。」
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なお - ごっつい好きなんやけど、、、やっぱり、ヤンデレって最高!! (4月20日 9時) (レス) @page11 id: 4ebc7ce81e (このIDを非表示/違反報告)
かつどんちゃん。(プロフ) - よう。さん» コメントありがとうございます!沢山の作品の中からこのお話を見つけてもらえて嬉しいです😊 (4月9日 22時) (レス) id: 45cf3ca804 (このIDを非表示/違反報告)
よう。 - ドタイプの作品見つけた…!!天才ですね…(笑) (4月9日 22時) (レス) id: df66def1dc (このIDを非表示/違反報告)
かつどんちゃん。(プロフ) - 赤羽さん» そう言っていただけて嬉しいです!コメントありがとうございます😊 (4月9日 9時) (レス) id: 45cf3ca804 (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 - クッッッッッッッッ!!‼‼‼‼神作だッッッッッッッッッッッ (4月7日 23時) (レス) @page9 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かつどんちゃん。 | 作成日時:2024年3月17日 8時