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トラック荷台で揺られる中、座り込んだ私の隣にMr.が並んできた。
「ねぇねぇ椿ちゃん、さっきアイツに何渡したの？」
「餞別です。彼にとって一生悔いの残るものを置いて来ました。」
「中身は教えてくれないの？」
「差し支えはないですが…その…」
「俺には言い難いものだったりしてー。」
「………。」
「え、マジ？オジサン悲しい。」
「あっ、いえ、その……渡したのは義手でして…。」
「…成程ね。気ぃ遣わせちゃったか。」
「すみませ…」
「でも、ちょっと妬けるねェ。」
「…え」
仮面から覗いた彼の瞳が、妖しげに細められた。
普段私達に見せるような温厚なものではなく、敵と認識させるような、所謂「悪い顔」をしていた。
幸い能面を被っていたので私の表情は晒されていないが、今の顔は正直自分でも見たくない。
「…なーんてね。意地悪してゴメンね。」
そう言って彼は、優しく二度頭を撫でた。
義手でない方の手は、手袋越しでも温かく感じた。
「おい椿、義手やったら意味ないだろ。」
「義手の指を咥えようとは誰も思わないですよ。」
「結局"個性"が戻る訳じゃないけどなァ…今後は止めろ。」
「はい。」
死柄木サンに念を押されたが、今後このような事は二度とないだろう。
先程から物静かな荼毘へ視線だけ向けると、無感情な瞳が見えた。
既視感を覚えるその瞳は、静かに伏せられた。
気が付けば他の二人も休息していた。
運転席に繋がる小窓から、スピナーサンへ声を掛けた。
「スピナーサン、追手の様子はどうでしょうか。」
「ああ、椿か。今んとこ問題ねェ。」
「運転有難う御座います。」
「どうってことねェよ。
おまえも他の奴らみたく寝といたらどうだ？つっても、こんな荒運転で寝れる神経もどうかと思うけどな。」
「大丈夫ですよ。お言葉に甘えて目を閉じます。
もう少しの運転、宜しくお願い致します。」
「おう。」
クッション性皆無の荷台に凭れ掛かり、私も能面を取って目を閉じた。
続く (更新停止中)
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作者名：馬×3 | 作成日時：2021年10月7日 1時
