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現在残留組の私達は「御礼参り」をするべく、スピナーサンの運転でトラックに乗っていた。
ゲームで鍛えたと言うドライブテクニックは、中々に荒いものだった。
そこに高速道路と来れば速さがより加わる為、体幹のしっかりしていない私は荷台の壁に寄りかかっていた。
「八斎會から最寄りの敵病院へは、この高速に乗るのが一番早い。連絡ありがとね、トガちゃん有能でおじさん頭上がんねェや。」
出向を終えヒーローから逃れたトガチャンとトゥワイスサンの連絡により、廻…オーバーホールが拘束後運送される事が分かった。
死柄木サンはデフォルトだが、今回ばかりはMr.も思う所が多いにある。
私も餞別を渡すべく、小さめのアタッシュケースを持って来ている。
二台の扉を全開にしていれば、お目当ての護送車が後続に着いた。
「おいトカゲ、フラついてんぞ。俺酔いやすいんだ。」
「「トカゲ」はダメだ！！スピナーだ！！ゲームで鍛えた俺のドライビングに文句でも！？」
「何キレてんだ、ウゼェ。」
スピナーサンは敵ではあるが、ステインに傾倒する辺り何処か善人寄りな思考を持っていることは否めなかった。
それに対してトガチャンや荼毘はまた違った意味でのシンパであった為、皆が皆スピナーさんのようである訳でもない。
「さて。」
ぽそりと発せられた言葉とは裏腹に、荼毘は高火力の蒼炎を後続へ繰り出した。
視界いっぱいに広がるその炎を、場違いにも「綺麗」だなんて思った。
人を殺す為の炎を綺麗だなんて、やっぱり私もイカレているのだろう。
しかし、護送車の護衛にはヒーローがいたようで、顔だけ見たら敵よのうな容姿の男性が砂の"個性"を発動させていた。
「スピナー！！減速！」
そう言って死柄木サンは、パトカーへ向かって飛んだ。
砂の方は私達についてそこそこ知っているようで、死柄木サンの個性は封じられた。
「死柄木は視線誘導、いこう。
パトカーフワリ空中浮遊！タネも仕掛けもございやせん。」
"個性"によって後続に岩石が突如出現し、パトカーが体制を崩す。
その勢いで、死柄木サンは護送車に飛び付いた。
私は減速した荷台から、荷物を持って飛び降りた。
私の仕事は、転倒させた護送車から死柄木サンを回収することである。
髪の毛で空中に放り出された死柄木サンをキャッチし、丁寧に地面へ下ろした。
「大丈夫ですか？」
「あぁ、お陰でビルに挨拶しなくて済んだ。」
それは感謝しているのか、分かりにくい回答だった。
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作者名：馬×3 | 作成日時：2021年10月7日 1時
