17 ページ17
「…殺してますよ、何十名か。」
「そりゃあたまげた。髪で串刺しにするってのは分かるけど、相手の抵抗具合とかを見てないからピンと来ないな。」
「そもそも抵抗させません。最初に攻撃を仕掛けはしますが、躱されることを前提に次の拘束へ備えているので、まず持って初見では誰しも拘束出来てしまいます。」
「死柄木と俺と荼毘みたいな個性だと掻い潜れるよね？」
「基本的には拘束後即座に急所を突き刺していますが、手練や相性の悪い相手には髪を切って逃走します。」
「切っちゃうの？」
「殺した後はいつも毛先を切り落としてます。水分やカルシウムの補給をしていれば無尽蔵に伸ばせるので。
問題があるとすれば、切った髪の毛が残り続けてしまう事ですね。私の遺伝子情報がその辺に残るの嫌なんです。」
「そーね。俺たちみたいなのからしたら痕跡は残したくない。切り落とした髪って、トカゲのシッポみたいにしばらく動かせるの？」
「ある程度の時間は動かせますよ。ただ、操作が分散するので糖欠にも陥りやすくなります。
その他には…これとか。」
私はスカートのポケットから、薄っぺらいジンジャーマンクッキーの人形を取り出した。
「…てっきり日本人形でも取り出すのかと思った。」
「流石に持ち歩けませんよ。こうして髪で四肢を繋ぐと……操り人形の出来上がりです。」
「うん、面白い！人間だったら腕とかを髪で拘束して動かすのかな？」
「各部位や末端に髪を一本一本突き刺します。神経を弄ると操作効率が上がりますが、少し手間が掛かるんですよね。」
「ワオ、やっぱり椿ちゃんもイカレてるや。」
「人間皆何処かおかしいものですよ。」
「"お互い"、難儀なものだねェ。」
「…？」
何故「お互い」と言ったのか、文脈的な意味が分からず首を傾げるも、誤魔化すようにMr.はクルクルと軽く踊り、再びマジックと"個性"のショーを見せてくれた。
事情があるのだろうとそれ以上詮索する気もなく、Mr.から造花の椿を差し出された。
受け取ろうとすると、スッと左耳に椿を掛けられた。
仮面から顔を覗かせると、彼は「うん、似合ってるよ」と言ってくれた。
ーートガチャン達から連絡があったのは、その翌朝の事だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：馬×3 | 作成日時：2021年10月7日 1時
