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ノートパソコンと向かい合いつつ、先程ハロが大きく開けた隙間を覗いた。




こちらの光が射し込む先に、眠っている彼女がいた。






僕は良かれと思い食と住を彼女に提供しているけれど、後々考えれば彼女も思春期の女の子である事を失念していた。


居候なんて言い換えれば同棲や同居と同じで、成人男性と生活を共にさせている事に少々罪悪感があった。



然し他に宛がある訳でもないし、彼女は年齢以上に大人びており物事を割り切る能力を備えていた。

それを素直には喜べないが、今の状況では有難かった。



彼女を試すように昨夜は添い寝をしてしまったが、多数派の女性達より居心地が良かった。



多くを求めること無く、聞く事無く、察してくれていて、

彼女がもし同期だったのならば口説き落としていたかもしれない。






彼女の鋭い観察力と思考に僕は甘えていた。





まるで自分は空気だと言わんばかりの生き方が、彼女の中に根付いているのを感じた。


それが哀しむべき事であると分かっているし、それを僕達大人が如何にかしてやらなければならない事だと思っている。



けれど今の僕には、そんな彼女の存在が有難かった。



一定の線引きをされた距離感が心地よかった。




こんな僕のエゴに彼女を縛ってはいけないと分かってはいるのだ。






それでも今だけは、彼女が僕の傍にいる内は、

僕の私情に付き合って貰いたいと思った。







彼女の周りの身勝手な大人がしたように、僕もまた彼女を利用していた。








彼女はそれでも良いよと、許してくれるだろう。





少なからず彼女からの慈愛のような好意は感じていた。



自分に向けられる眼差しが他に向けるソレとは違う事くらい気付いていた。









僕がそれに応えられない事も、彼女は分かっていた。









僕は酷い大人だ。









彼女を子供だと言っておきながら、その実女性として見ている。





彼女を都合よく利用して、酷い事だと分かっていながら、その実僕はそれをやめる事が出来ないでいる。









線引きをしていながら、彼女に癒しを求めてしまっている。









僕が彼女に本名を教えてしまったのも、彼女を抱えて眠ったのも、






全部、僕のエゴだ。

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馬×3(プロフ) - リンさん» そんな事を言って頂けて嬉しい限りです。まだ語彙力が低い為上手い言い回しが出来ぬやも知れませんが、精進して行きます。 (2020年5月18日 21時) (レス) id: dfb05b741d (このIDを非表示/違反報告)
リン - 洗練された文章のような印象を受けて、お話に引き込まれました。とても面白いです!更新楽しみにしてます。 (2020年5月18日 21時) (レス) id: 73f2c7a15b (このIDを非表示/違反報告)
馬×3(プロフ) - アイスあるさん» 有難う御座います。自己満なので、暖かい目でお願いします(/// ^///) (2020年5月14日 21時) (レス) id: dfb05b741d (このIDを非表示/違反報告)
アイスある - すごい面白いです!更新頑張ってください! (2020年5月14日 20時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:馬×3 | 作成日時:2020年5月11日 14時

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