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浮上する意識に抗うこと無く、そのまま重たい瞼をこじ開ける。
右手の温かさに引かれ、視線を動かした。
私の右手を痛いくらいに握っているブロンドが目に入った。
グレーのスーツを来ている事から、職場からそのまま来たのだろう。
「……泣いて、いるんですか…？」
彼はハッとしたようにこちらを見た。
頬に雫はないが、どこか泣きそうな顔があった。
「……A、さん。僕は…」
「…生きているんですから、良いではないですか。」
「ですが……」
「駄目ですよ。それ以上何かマイナスな事を言うのは許しませんからね。
貴方は、この国を守る立場にある。
簡単に頭を下げてはいけません。
貴方はすべき事をした。その結果私は生きている。それが事実なんです。
悪い事をしていないのに、何故謝る必要があるのでしょう。」
「Aさん……。
……そうですね。はい、ちゃんと前を向きます。」
もやを振り払うように、彼は私に笑った。
その笑顔は、確かに本物だった。
その事に泣きそうになりながらも、私は口を開いた。
母に言われたことを思い出しながら。
「…降谷さん、こんな時に言うのも狡い事は分かっているんですが……
ーーー貴方が好きです。」
そう言うと、彼は目を丸くして固まってしまった。
驚きの余り声が出ないとはこの事だろう。
彼は何かを言いかけるも、口が開くばかりで声は出ていない。
ちゃんと言葉にできるまで、私は微笑みながら、彼の準備ができるのを待った。
「……僕は…。
僕は、狡い大人です。
貴女の気持ちには、しばらく前から気付いていました…。
僕はそれを分かっていながら、貴女の優しさに漬け込んで利用していた。
……まだ、答えが見つからないんです。」
「見つからない…？」
「貴女に何を言うべきか、立場を考えればそう難しくありません。
ですが、それを言う勇気が、今の僕にはない…です。
僕こそ狡い事を言うようで申し訳ないのですが、その答えが見つかるまで、待って頂けないでしょうか…？」
迷うような表情がこちらへ向けられていた。
私は、少し嬉しかった。
だって、彼に迷いを覚えさせるくらいには、私は彼の中に存在していると分かったのだから。
「…いくらでも、待ち続けますよ。」
滲み出る愛おしさから、自然と柔らかい笑顔が出た。
続く (更新停止中)
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馬×3(プロフ) - リンさん» そんな事を言って頂けて嬉しい限りです。まだ語彙力が低い為上手い言い回しが出来ぬやも知れませんが、精進して行きます。 (2020年5月18日 21時) (
レス) id: dfb05b741d (このIDを非表示/違反報告)
リン - 洗練された文章のような印象を受けて、お話に引き込まれました。とても面白いです！更新楽しみにしてます。 (2020年5月18日 21時) (レス) id: 73f2c7a15b (このIDを非表示/違反報告)
馬×3(プロフ) - アイスあるさん» 有難う御座います。自己満なので、暖かい目でお願いします(/// ^///) (2020年5月14日 21時) (レス) id: dfb05b741d (このIDを非表示/違反報告)
アイスある - すごい面白いです！更新頑張ってください！ (2020年5月14日 20時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：馬×3 | 作成日時：2020年5月11日 14時
