双つの黒�� ページ28
「ああ、気に食わねえ。
太宰の顔も態度も服も全部だ。」
「私も中也の全部が嫌いだね。
好きなのは中也の靴選びの感性位だ。」
「あ…？そうか？」
「うん、勿論嘘。
靴も最低だよ。」
「手ッ前ェ！」
中原さんの回し蹴りを跳躍して躱した太宰さんは、私の頭上を横切った。
最早彼の腕固定の三角巾は意味を成していない。
「無駄だよ。
君の攻撃は間合いも呼吸も把握済みだ。」
「加減したんだよ。
本気なら頭蓋骨が砕けてたぜ。」
「そりゃおっかない。
ま、中也の本気の度合いも把握済みだけど。
…ほら居たよ、あれだ。
助けを待つ眠り姫様だ。」
「眠り姫様ねえ…。」
小屋の地下には、樹木の幹に絡め取られたQが項垂れていた。
傍らの鉄管椅子には詛いの人形が鎮座している。
彼の躰の彼此が木と同化しており、血管のように皮下組織を這う様は何とも痛ましい。
「木の根を切り落とさないと。
中也短刀貸して。」
「あ？あぁ……ん？確か此処に…」
「あ、さっき念の為掏っておいたんだった。」
「手前…！」
「さて、やるか。」
そう云って太宰さんは、Qの首元に短刀を当てがった。
然し私は止めることはなく、所か中原さんですら其の光景を静観していた。
「……止めないの？」
「首領には生きて連れ帰れと命令されてる。
だが此の距離じゃ手前の方が早え。
其れに其の餓鬼見てると、詛いで死んだ部下達の死体袋が目の前をちらつきやがる。
やれよ。」
「そうかい。
…じゃ、遠慮なく。」
彼の振りかざした短刀はQの足元の幹へ立てられた。
切れ味の良い短刀はザクザクと幹を切り刻んでいく。
「ふん、甘え奴だ。
そう云う偽善臭え処も反吐が出るぜ。」
「Qが生きてマフィアに居る限り、万一の安全装置であるわたしの異能も必要だろ？
マフィアは私を殺せなくなる。
合理的判断だよ。」
「……如何だか。」
「マフィアが彼を殺すのは勝手だけどね。
大損害を受けたマフィアと違って、探偵社の被害は国木田君が恥ずかしい台詞を連呼しただけで済んだから。」
「社員に詛いが発動したのか。
其の後如何した。」
「勿論録画したけど？」
「あの後大変だったんですよ。
国木田さん、フロアの隅から暫く動かなかったんですから。」
「え！其の写真ある？」
「…後で送ります。」
「撮ってんのかよ。」
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馬×3(プロフ) - kajtuuwnさん» 更新障害の所為か外したのにオリ/フラが表示されていたみたいですね。確認したところ外れていたので、現在は問題ないかと思われます。ご指摘頂き有難う御座います。 (2022年7月18日 8時) (
レス) id: 85cef96c0c (このIDを非表示/違反報告)
kajtuuwn(プロフ) - オリ/フラ立ってます。外して下さい (2022年7月18日 7時) (レス) id: 08bd233888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：馬×3 | 作成日時：2022年7月18日 0時
