双つの黒�� ページ27
此の包帯の付属品とは何年の付き合いになるかなんて考えたくもねえ。
けど、其奴の隣に居る女ーー水野Aとは六年前に出逢ったのが始まりだ。
忌々しい竜頭抗争の終盤、瀕死の此奴を最初に見付けたのは俺だった。
有力組織の構成員や俺の部下の死体が並ぶ中、水野は死体の山に身を預けていた。
当時は此奴の髪が長かったのもあって、女の餓鬼まで駆り出されてんのかと顔を顰めた記憶がある。
通り過ぎようとした時、此奴の虫の息に気付いた。
同情しなかったとは云わない。
だから此奴はポートマフィアに拾われて、其の異能と経験で参謀に着いた。
俺は餓鬼のお守りは御免だったが、助けたからってのもあって暫く面倒を見た。
淡々として、無表情で、人形と大差ねえのが当時無性に俺を苛立たせた。
今でこそある程度感情豊かになったみたいだが、敵と見なせば容赦なく殺せる無情さは変わってない。
太宰の木偶も根本は変わらねえからか、探偵社員である筈なのに殺人への躊躇いが無い。
普段は杖を着いてるらしいが、今夜は戦闘を想定してか手元は空いていた。
冷酷で無機質な筈なのに、何故か昔から此奴には違和感があった。
違和感は進行形で消えること無く存在しており、其の正体は年月を経てより存在感を増したように思う。
太宰なら其れが何なのか判ってるかもしれねえが、其れを態々彼奴に聞きに行くのは性に合わない。
月明かりに照らされる水野の横顔は、随分と大人びた様に見える。
相変わらず其の表情が大きく崩れる事はない。
横に並ぶ此奴を見詰めていれば、太宰が首根っこを掴んで来やがった。
「…駄目だよ中也。
彼の子をそんな風に見ていいのは、私だけだ。」
「ケッ、気持ち悪ぃ奴だな相変わらず。」
「何してるんですか？早く行きますよ。」
お前の話をしてた何て云う気も無く、腑の底にドロドロとした澱が沈む。
「俺が最初に見付けたんだよ」と一人ごちれば、気色悪いニヤケ顔が背後から俺を嘲笑う。
すっかり短くなった黒髪に追い付き、再び俺が先頭を切った。
仕事の能力も、性格も、
参謀としての能力を首領に見初められて以降、俺は水野の世話係からはお役御免になった。
此の認めたくない感情は思考の縁に追いやったが、俺を見詰める其の月明かりに照らされた瞳は酷く俺を眩ませる。
溢れそうになる口を噤み、代わりに太宰への文句を垂れた。
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馬×3(プロフ) - kajtuuwnさん» 更新障害の所為か外したのにオリ/フラが表示されていたみたいですね。確認したところ外れていたので、現在は問題ないかと思われます。ご指摘頂き有難う御座います。 (2022年7月18日 8時) (
レス) id: 85cef96c0c (このIDを非表示/違反報告)
kajtuuwn(プロフ) - オリ/フラ立ってます。外して下さい (2022年7月18日 7時) (レス) id: 08bd233888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：馬×3 | 作成日時：2022年7月18日 0時
