眠気の少ない夜 ページ16
私の心はまだ敦さんの件を引き摺っているようで、一向に眠れないでいた。
シャワーから上がると、寝室で義手義足を着けた。
自宅は一軒家で私以外は誰も住んでいない。
私は義手の仕込み鉤を其の人に差し向けた。
「…太宰さん、徐々与謝野女医に訴えますよ。」
「おぉ、其れは恐い。
所で、髪も乾かさずそんな薄着だと風邪を引いてしまうよ？」
「接続部が蒸れるんですよ。
抑々、此処は私の自宅です。
貴方が居る事の方がおかしいのですが…。」
「細かい事は気にしない、気にしない。
其れに幾ら自宅だからって、其の格好で露台に居るのは頂けない。
私のような輩が居ないとも限らないからね。」
「こんな事をするのは貴方位ですし、私が其の辺の輩に如何こうされるだなんて思ってもいないでしょうに。」
「だから私は如何こう出来ると云う訳さ。」
此の人は何でもないように猥談もするし、しれっと私の隣に並ぶ。
よりにもよって、何故眠れない日に彼は来るのだろう。
隣に此の人が居る状況に、T
「…あの、何で少しずつ近付いて来るんですか…。」
「ん〜？此の儘なし崩し的に如何こう出来ないかなと。」
「冗談も大概にして下さい…。
大方貴方も眠れないんでしょう。一服した後で良ければ添い寝程度はして差し上げられますよ。」
「添い寝してくれるの？其れなら来た甲斐があったもんだ。」
「先に部屋に入らなくて良いんですか？」
「喫煙は緩やかな自'殺さ。
なら、より害のある副流煙を吸い込む受動喫煙は心中だ。」
「貴方は煙草を吸わないんですか？」
「偶に吸ってみたりするんだけどね、如何にも格好つけにしかならない。
私は煙草の美味さとやらに一向にあり付けないでいるのだけれど、Aちゃんの吸ってるのは美味しい？」
「そう思って吸ってはいませんよ。
こうしたら香りは分かると思いますけどね。」
行儀の悪い事を承知で、私は彼の顔に煙を吹き掛けた。
月明かりに照らされた端正なかんばせは、其の目元を細めた。
「君、其の意味分かっているのかい？
分かっててやっているのだとしたら、随分と意地が悪いね。」
「ふふ、此れを機に御自分の言動を見返しては如何ですか？」
途端、顔が引き寄せられる。
彼と私の鼻先がちょんと触れた。
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馬×3(プロフ) - kajtuuwnさん» 更新障害の所為か外したのにオリ/フラが表示されていたみたいですね。確認したところ外れていたので、現在は問題ないかと思われます。ご指摘頂き有難う御座います。 (2022年7月18日 8時) (
レス) id: 85cef96c0c (このIDを非表示/違反報告)
kajtuuwn(プロフ) - オリ/フラ立ってます。外して下さい (2022年7月18日 7時) (レス) id: 08bd233888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：馬×3 | 作成日時：2022年7月18日 0時
