彼岸と蝋梅 ページ1
社長の指示により、私達は旧晚香堂へ移動する事となった。
其れに伴い、太宰さんと私とで姐さんの移動を承った。
花魁宛らの羽織や帯は袋に纏めてある為、彼女は普段に較べて随分軽装だ。
加えて目隠し迄されている故何処か痛ましさを感じさせる。
「……A。久しい、のう。」
「お久し振りです姐さん。
気まずそうにしているなんて、らしくないですね。」
「其れもそうであろう。
「医務室での事ですか？」
「…其れもそうじゃが、お主が此方の組織に属して居た時から私は何もしてやれず、此度も亦何も出来なんだ。」
「姐さんが気にする事ではありませんよ。
私の処遇などそんなものです。」
「姐さんが気にせずとも、私が代わりにAちゃんにアレやコレやしてるしするから大丈夫だとも。」
「嗚呼、何と云う事かえ。太宰の小僧に連れ添ったばかりにAの純真が散らされたなぞ、私は心底悲しうて悲しうて。」
「お二人共、巫山戯ないで下さい…。」
大の大人が揃いも揃って緊張感無く巫山戯倒す。
否、大人だからこそ現実を逃避したいのだろうか。
歳上に揉まれ翻弄されるのは何時の世も若者と云うのか、巡り巡っているのかもしれない。
「………。」
「考え事して如何したの？」
「…いえ、今後について少し嫌な予感が。」
「其れは大変だ！
君の予感は未来視の可能性もあるしね、急がないとだ。色々と、ね。」
含みを持たせた微笑が私に傾けられて、確信的に悪い事が起きると思い太宰さんから外方を向いた。
其れを幼稚だと思われたのか、単におかしかったのか。からころと笑ってみせた。
気付けば私達は地下への階段を進み、旧晚香堂へ到着していた。
まるで木製の聖堂のような場所。
古めかしくあるが埃の少ない其処は、こんな時でなければ是非とも脚を運びたいと思わせる郷愁が感じられた。
姐さんを個室へ案内し、私達探偵社員は此処を使えるよう掃除に取り掛かった。
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馬×3(プロフ) - kajtuuwnさん» 更新障害の所為か外したのにオリ/フラが表示されていたみたいですね。確認したところ外れていたので、現在は問題ないかと思われます。ご指摘頂き有難う御座います。 (2022年7月18日 8時) (
レス) id: 85cef96c0c (このIDを非表示/違反報告)
kajtuuwn(プロフ) - オリ/フラ立ってます。外して下さい (2022年7月18日 7時) (レス) id: 08bd233888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：馬×3 | 作成日時：2022年7月18日 0時
