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気を付けている。
然しそれだけでは足りなかった。
想像以上に周りの人間は敏い人物が多かった。
コナン君にしろ、Aさんにしろ、
目を付けているつもりで目を付けられている。
子供ながらの観察能力以上のものを彼らは持っている。
おまけに一日とはいえ、気付かずに車の足取りを追われていたとは、
公安としてどうなのか…。
自分が呑まれない為には、相手を呑み込まなければならない。
その為に必要なのは情報。
取り敢えず直近で欲しい情報は水野Aに関するもの。
以前に調べた情報はあくまでも上辺でしかない。
あの時のーー
ーー「私が怯えるのは私自身に何か及ぼすものではないですよ。
私は唯の駒ですから。
その駒の持ち主に害が出る事が拙いんです」ーー
そう言っていた彼女の表情は、何処か諦観している様に笑っていた。
唯の17、8そこらの少女が、普通に生活していてあんな顔をするとは思えなかった。
"駒の持ち主"とは一体誰なのか、
もう一度彼女の身辺を洗い直さなければならない。
予想出来る人物として父親を上げられるが…
その父親は一会社の重役というだけなのだろうか。
俺を調べる理由もそれで分かるだろう。
そうすれば彼女を手の内に引き込み、今後少しばかりの協力者として協力を促せるだろう。
全てはこの国の利益の為。
その障壁となるものは、1つずつでも崩していかなければならない。
不安要素は取り除く。
ーー俺は公安、"ゼロ"の降谷零なのだから。
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作者名:馬×3 | 作成日時:2020年4月25日 3時