私は''安室透''と言う男を嫌う。【安室透】【降谷零】 (ページ23)

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次の目論見として、私は安室さんを尾行する事にした。

今日は休日。バイトは入れていない。

パッと見個人の区別がつかない変装で尾行をする事に、休みを一日棒に振ると言っても過言ではない。

それくらいに無謀な事をしようとしていた。

真偽の程は分からないけれど、彼は自分は"探偵"だと言っていた事を憂慮すれば、尾行なんて簡単に気付かれるかもしれないし、それこそ撒かれてお終いだろう。

確かに私の方が詮索されるリスクは極めて高いけれど、

気付かれた際に彼が私に何かしらのアクションを起こすのなら、

それにより得られる情報もある。

やらない事よりメリットが多いのだ。

尾行の手始めに、先ずは安室さんの車に小型のGPSを取り付ける。

GPSなんかは市販で扱われているので、所持だけなら何ら違法性は無い。

まぁ他人の車に取り付ける、というのは別だが。

気付かれないように車体の裏側へ貼り付ける。

安室さんが自宅へ帰れば、滞在時間から自宅を予想出来る。

自宅を特定する理由は、近隣住民に話を聞く為。

それにより彼の生活等が少しは分かるようになるからだ。

もう一つ利点を上げれば、彼がポアロ以外で何をしているかと言う事の特定に繋がると考えたからである。

探偵として仕事をしているならそれなりに不規則な移動が見られるだろうけれど、

それ以外の時は定期的に彼が何処で何をしているのか、

何故私と接点を持つのかがはっきりするだろう。

ここまで考えて置いてなんだが、そこらのストーカーより質が悪い自覚はある。

然し私の"父親"の事を考えると、これくらいの事をしても自然な程だ。

"あの人"は普通ではない。

私が詮索される事によって、父の立場が危ぶまれるかもしれない。

いつ何時、何処の誰が持てる情報を使ってあの人の足下を狙うか分からない。

それは安室さんであれ、唯の一般人であれ、例外ではない。

特に安室さんに関しては、リスクを冒してでも正体を探らなければならない人だと、六感が告げていた。

彼の存在は"あの人"への影響を危惧させる程の、何かがあった。

私は父親の駒だった。

程よく使い捨てられる、あの人の利益の為だけの、唯の駒だった。

心身に染み付いたその"概念"は、顔を合わせない今も尚色褪せる事無く存在感を放っていた。