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この一日は、彼が私の我儘に付き合っていたと言うよりも、
私が彼に付き合っていた様な、精神的疲労感に見舞われた。
嫌いな表情とそうでない表情の2面を見て、私は戸惑っていた。
嫌いだと言ったのに、何で避ける所か近付いてくるのか……。
何で嘘を吐いてるなら、その演技を貫き通さないで私に正体を晒しかけているのか……。
何であんな、複雑そうな笑顔を私に向けたのか……。
やめて欲しかった。
これ以上私に個人との関わりを持たせないで欲しかった。
安室さんの演技も、自分の演技も、全部全部不信感を大きく揺さぶる種だ。
然しそれでも私は、"安室透"を嫌っても
"彼"を嫌いになる事はなかった。
事情があるのだろう。
私には関係の無い事だ。
こんなに関わった人は何年ぶりだろう。
もう関わらないで欲しい。
何でそこまて私に拘るんだろう。
何で私なの。
安室さんに関わってから、私は自分の思考に溺れかける事が多くなった。
矛盾していて、濁る訳でもなく唯白と黒が混ぜこぜになっている。
人と関わるとろくな事がない。
そう悪態をついていても、
自分に関心を持っている"誰か"という存在は、私にとってはとても魅力的だった。
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作者名:馬×3 | 作成日時:2020年4月25日 3時