予兆 ページ48
国木田さんのPCを見詰めていると、太宰さんがお茶を持って戻って来た。
「ああ、国木田君なら鏡花ちゃんの携帯に外部から着信があったとかで、賢治君と急いで出て行ったよ。」
「念の為与謝野女医に…」
其処迄云いかけて、私は嫌な光景が"見えた"。
堰を切る様に私は医務室へ向かった。
「与謝野女医…!」
「如何したのさ?」
「医務室と手術室の準備をして頂けますか。」
「…事情は分からないけど分かった。」
何となく事態を察した太宰さんは、よく分かっていない谷崎さんを引き擦って社用車のバンに乗り込んだ。
普段なら絶対に乗りたくない太宰さんの運転も、今ばかりは「通常運転」である。
「一体如何したんですか?太宰さんと水野さん揃って。」
「鏡花さんの携帯に着信が有った為国木田さん達が向かわれたそうですが、恐らくつい先程、ポートマフィアの部隊と共に『組合』に討たれました。」
「そんな…!!」
「敵の情報は?」
「現場に2人の構成員が徒歩で到着。直後に上空から新たに4人の構成員が増員。
構成員の1人の異能によって、探偵社とポートマフィア共に鎮圧されました。
鎮圧が目的だった様で現場は放置されてます。」
「態々『組合』が手を出す位だ、ポートマフィア側に幹部が居たとすれば此方で捕虜にしよう。」
国木田さんのPCに表示された地点へ到着すると、現場は正に血の海だった。
然し何処を探しても鏡花さんの姿はない。
敦さん達を車へ運んだ後、ポートマフィア側で倒れていた姐さんーー尾崎紅葉を捕虜として連れ立った。
「他に転がってたポートマフィアの人達は大丈夫ですかね…?」
「もう少しすれば向こうも救護部隊が到着するでしょう。大丈夫か如何かは分かりませんけどね。」
戻りの運転は私が代わり、急いで探偵社内に皆を運び込んだ。
与謝野女医による手術で調査員3人は机に伏し、姐さんは医務室にて担架に拘束された。
久方振りの対面だが、彼女は相変わらず秀麗である。
疲弊から復帰した敦さんが医務室に来て一寸、姐さんが目を覚ました。
傍らの太宰さんを見て、彼女は目を見開いた。
「やあ姐さん、ご無沙汰。」
「……此の程度の縛めで
「真逆。だから私が見張りに。」
「確かに久しいのう。
裏切者よ。」
見ないようにしているのか、彼女が私と視線を交えることは無かった。
48人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
馬×3(プロフ) - 光華さん» 有難う御座います。頑張ります。 (2020年11月7日 22時) (レス) id: dfb05b741d (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 最高すぎる!更新頑張って下さい! (2020年11月7日 21時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:馬×3 | 作成日時:2020年11月5日 20時