#148 ページ48
･
｢(グッとは多分膝でシュッとは多分指先の力の入れ方)｣
｢(問題はドンなんだよね、何なんだろうドンって)｣
男子と女子、経験の違い、実力の違いはあれど
同じバスケットボール選手だ
なんとなくだが言いたいことはわかる
Aは自分なりに言われたことを解釈していつもと違うフォームでゴールに向かってシュートを打った
｢(まずい、失敗した)｣
｢(ボールの軌道が入る時の軌道と違う)｣
何十回、何百回と打ってきたシュートだから
このシュートが入るか入らないかなんてすぐにわかる
手首のスナップが甘かったうえにボールの軌道が直線的
スリーポイントシュートのボールの軌道は直線的ではなく曲線的に弧を描くようなものが好ましい
直線的な軌道ではリバウンドの予測がしにくくなってしまう
スリーポイントシュートはそこまでよく入るシュートではないため万が一外した時のことを考え
リバウンドを取って再びシュートを狙うなど攻撃を立て直せるようにした方が味方のためになるだろう
ボールの軌道から入らないことを確信したA
やや直線的な軌道を描いたボールはガコンとリングにぶつかり落下した
｢やっぱり…｣
今まで変なフォームでもそこそこ入れていたAが
急にフォームを変えてたり変に意識して
自分なりに解釈した結果もっと酷いことになってしまった
｢惜しいな、ほらもう一度ボール持ってみろ｣
｢はい…｣
｢まぁ今のはオレの教え方が雑だったな、あれはわざとだから安心しろ｣
｢は……って、え？あの意味わかんない説明はわざとだったんですか？｣
｢おう、だって最初から答えを出してちゃ意味ねーからな｣
あの意味のわからない擬音語マシマシ説明はわざと
三井のこれまたわかるようでわからない謎の理由を聞いたAはガックリと肩を落とした
真面目に考えてしまった自分が馬鹿みたいだが
それでも最初からわかるように答えを言うのは意味ないと主張する三井の考えもわかる
｢自分より下手くそな後輩に意地悪して楽しいですか｣
｢なんだ怒ってんのか？｣
｢あれでわかった方が不思議です｣
｢でも何となくはわかるだろ｣
｢それはまぁ…否定はできませんけど｣
｢じゃあ、もう1回ボール持って前向いてみろ｣
子供っぽいのは笑い方だけではなかったんだな
なんて思ったけどそんなことを言葉にする勇気は微塵もない
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 120人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こちめる(プロフ) - なつめさん» はじめましてコメントありがとうございます〜〜😊楽しいと言っていただけて本当に嬉しいです！！とっても励みになります🥲 (2023年2月26日 19時) (
レス) id: b38c8404b7 (このIDを非表示/違反報告)
なつめ - はじめまして！このお話が毎日の楽しみになってます☺️2人の距離感が絶妙で、読んでいてとても楽しいです！無理のない範囲で更新頑張ってください🫶応援してます！ (2023年2月26日 15時) (レス) id: 06b754cdeb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こちめる
| 作成日時：2023年2月22日 23時
