#133 ページ33
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｢げっ…｣
｢あれ、珍しいな三井がこんなに早く来てるなんて｣
｢木暮…に、赤木｣
自分とどこか似ているAを放っておけなかったのか
わざわざ練習の手を止めて部室まで戻ってきていた三井は木暮と赤木の2人を目にした瞬間ピタリと足を止めた
｢部室に忘れ物か？｣
｢ま、まぁな…ちょっと｣
まだ木暮と赤木の2人だったのは有難い方なのかもしれない
これがもし宮城や桜木だったら
これから先Aにしてやることを見てゲラゲラ笑ってからかってくる可能性があった
そう思っていてもやっぱり誰が来ても少し気まずい
｢テーピングにハサミって…三井、お前まさか｣
｢いやいや違ぇよ、心配すんなって木暮｣
｢膝に少しでも違和感を感じてるなら無理はするなよ｣
｢だーかーらー！違うっつってんだろ！心配してくれんのはありがてぇけどオレはこの通りピンピンしてるわ！｣
心配してくれるのは有難いが
三井自身が怪我をしたとかそういうのではない
だから尚更気まずいところがある、という話だ
｢じゃあそういう事だから先に行ってるぞ｣
｢わかった｣
丁度いい太さのテーピング数本とハサミを持って
2人から逃げるように颯爽と部室を後にした
｢(あの時、もしもなんでもアイツらに話すことができていたら)｣
｢(結果は少しだけ変わっていたかもしれねぇよな)｣
あの時、誰にも打ち明けることが出来なかった本心
怖い、痛い、苦しい、不安、焦り、それらを全て
共に手を取り歩いてくれる仲間に言えてたら
後悔したって過ぎた時間は戻ってこない、わかっていてももしものその先を考えずにはいられなかった
｢あ、先輩｣
余計なお世話かもしれないけれど目の前にいる似たような境遇にある後輩には同じ轍を踏ませたくない
しかし彼の胸中にある気持ちはそれだけではなかった
同じ轍を踏ませたくないと放っておけない気持ちとはまた別の意味の放っておけない理由がある
｢(彩子の言っていた意味は何となくわかる)｣
｢(あの頃のオレもこんな顔をしてたのかもな)｣
同情でもなんでもない
何かを隠していることは何となくわかる
けどそれらを無理に知ろうとは思わない
｢ほら、膝やってやるから｣
｢綺麗にお願いします｣
｢任せとけ｣
その小さな背に背負っていたものの正体を知るのは
あと少しだけ先の話
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こちめる(プロフ) - なつめさん» はじめましてコメントありがとうございます〜〜😊楽しいと言っていただけて本当に嬉しいです！！とっても励みになります🥲 (2023年2月26日 19時) (
レス) id: b38c8404b7 (このIDを非表示/違反報告)
なつめ - はじめまして！このお話が毎日の楽しみになってます☺️2人の距離感が絶妙で、読んでいてとても楽しいです！無理のない範囲で更新頑張ってください🫶応援してます！ (2023年2月26日 15時) (レス) id: 06b754cdeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こちめる
| 作成日時：2023年2月22日 23時
