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自分の気持ちに嘘をついて誤魔化して、本当の気持ちの上から嘘の気持ちに上書きすることは得意だった
そのはずなのにどういうわけかAは三井を前にするとその得意技が使えなくなるようだ
膝に違和感があるのも、少しとはいえ痛むのも全て事実
でもここで頷くことには抵抗がある
｢ほんとに大したことはないんです、ちょっと変だなって思ったくらいですしジャンプだってできます｣
無理をすればどうなるかなんてわかっている
自分の体のことは自分が1番よく知っている
今こうしてバスケができているのは当たり前ではなく
かつての自分が死ぬ気で頑張って苦労して得た貯金のようなもの
｢今日はたまたま膝のサポーターを忘れたから調子が悪いんです、きっとそうです｣
バスケが好きすぎる性格と負けず嫌いな性格が合わさり
何がなんでも自分を貫こうとする姿勢は
どことなく無口でぶっきらぼうなアイツと似ている
三井はAの言葉に耳を傾けると自分の左膝に目線を落とし、やがてゆっくり目を伏せた
｢まぁお前…花渕の言いたいこともよくわかる｣
｢1年から試合に出てるなら尚更な｣
Aと流川にも似てる部分はあるが
それ以上に三井から見た今のAの言動は
耳を塞ぎたくなるほどかつての自分とそっくりだった
周囲から必要とされ、期待されることの重みと責任感
周りからの期待の目が向けられるとバカみたいに突っ走って、1人では止まれなくなって
よく頑張るやつほど怪我をして心が折れた時の立ち直り方を知らないでそのままどん底へと落ちてしまう
｢大丈夫って言うならそれを信じるしかねぇな｣
｢ただ無理はすんなよ、膝は1度壊したらクセになる｣
大丈夫って言うならそれを信じるしかない
この言葉は自分に向けて言ったのか
それともAに向けて言ったのかどっちなのだろう
あの時の自分は大丈夫だと思いたかったのかもな、と今更になって気づいて
目の前にいるコイツは自分より弱くもなければ脆くもない、きっと立ち上がり方を知っている
そう信じてあげたかった
｢じゃあ…！｣
｢と、その前に｣
良くも悪くもバスケしかなくて
バスケに生きて、バスケに死ぬような人生で
バスケをやってないと気が済まない
その目はまるでかつての自分そのもので
｢膝出せ｣
｢えぇ…｣
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こちめる(プロフ) - なつめさん» はじめましてコメントありがとうございます〜〜😊楽しいと言っていただけて本当に嬉しいです！！とっても励みになります🥲 (2023年2月26日 19時) (
レス) id: b38c8404b7 (このIDを非表示/違反報告)
なつめ - はじめまして！このお話が毎日の楽しみになってます☺️2人の距離感が絶妙で、読んでいてとても楽しいです！無理のない範囲で更新頑張ってください🫶応援してます！ (2023年2月26日 15時) (レス) id: 06b754cdeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こちめる
| 作成日時：2023年2月22日 23時
