#122 ページ22
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ずっと信じてきたものがゆっくりと揺らぐ瞬間を
今日初めて明確に感じ取った
確かなものだと思ってたそれは自分が思うよりも驚くほど不確かなもので
｢(明日は絶対寝坊しない、もうインターハイの予選が近いんだし少しでも多く練習しないと)｣
｢ねぇ姉ちゃん、今日もお母さん仕事？｣
｢うん今日は夜勤だから朝まで帰ってこないって｣
｢ふーん……カズキさんは来ないんだ｣
｢…………別に来なくていいよ、あんな人｣
｢姉ちゃん？｣
｢なんでもない！ご飯にしよっか！｣
どんなに凄いプロの選手の活躍を見ても
どんなに髪を伸ばして、バスケットから離れていても
卑怯で最悪最低のことをして
バスケ部のみんなから殴られて、泣いて本心を語っても
私の憧れの感情は一切何も変わらなかった
それが今少しずつ変わろうとしていることに戸惑っている
｢(洗濯機回して、お皿洗って、お風呂の準備して)｣
｢(明日の朝ごはんとお弁当の用意もしなきゃ)｣
私にはバスケットしかない
私からバスケットを奪ったら何も残らない
そんな私がここまで夢中になって走っているのは
他の誰でもない、1番の憧れとお兄ちゃんがいたから
でもその憧れがまた別の形になろうとしていることくらい私にだってわかる
｢蓮〜！ご飯作ってる間にお風呂入ってきて｣
｢ねぇ姉ちゃん｣
｢ん？｣
｢なんか…今日は嬉しそうだね｣
｢え｣
1日の中で1番楽しいと感じるのはバスケをしてる時
毎日放課後の練習が終わるのが嫌で仕方なくて
楓と一緒に近くの公園で練習したりして時間を潰した
年齢が上がれば上がるほど家に帰るのがどうしようもないほど嫌になって、帰り道が嫌いだった
でも今日はそんなことなくてむしろずっとそのままでいたかったくらいで
｢まさか…あのセンパイのせい？｣
｢そんなわけ！｣
｢オレ、楓にいちゃんの方がイケメンで好きだよ｣
｢変なこと言わないで｣
楽しくて仕方なかった
あの瞬間だけは目に映るものがいつもと違って見えた
全部特別で、眩しくて
｢(あとで晴子ちゃんに電話でもしようかな)｣
子供のように楽しそうに笑って
怖いものなんて何もないかのように真っ直ぐで
憧れという感情の裏で揺れるものの正体はきっと自分の気持ちに嘘をつく私でもわかるくらい
とても簡単なものなんだと思う
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こちめる(プロフ) - なつめさん» はじめましてコメントありがとうございます〜〜😊楽しいと言っていただけて本当に嬉しいです！！とっても励みになります🥲 (2023年2月26日 19時) (
レス) id: b38c8404b7 (このIDを非表示/違反報告)
なつめ - はじめまして！このお話が毎日の楽しみになってます☺️2人の距離感が絶妙で、読んでいてとても楽しいです！無理のない範囲で更新頑張ってください🫶応援してます！ (2023年2月26日 15時) (レス) id: 06b754cdeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こちめる
| 作成日時：2023年2月22日 23時
