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久々に走っていて楽しいと思えた
息が上がってもそれすら楽しく感じて
走る喜びをこんな時に感じるなんて思わなかった
｢(ついていけないとか言っておきながら走れてんじゃん)｣
綺麗に切りそろえられた前髪がふわりと風に揺れ
無邪気な笑顔が信号待ちの車のライトに照らされる
なんだ、こんな風に笑えるのか
そう思うとこっちまでなんだか楽しくなってきて
自然と口角が少しだけ上がっていく
｢たのしー｣
後ろから聞こえた誰にも、何にも気を使ってない
心からの声
目を細めて心底楽しそうに笑う顔が何よりも眩しく
この場にあるどんなものよりも美しかった
｢(もっと速く走ってやろう)｣
今のこの感情をどうやって言葉にしようか
色を失っていた世界に再び色を与えたのはバスケットで
色の着いた世界を仕上げのように輝かせたのは
これから先もくだらないことで今のような顔で笑っていて欲しいと思うやつの存在
その存在はのちに大きく絶対的なものへとなっていく
｢走れねーとか言って走ってんじゃねぇか｣
｢走れませんよ、だから先輩に全部任せてました｣
｢嘘つけ｣
｢ほんとです｣
信号を渡り終えて肩からズレたスポーツバックを直すと
さっきまでとはどこか違う顔でAが笑った
何か新しいものを得た時の喜びを噛み締めるような
そんな感じの笑顔
止まることなく走り去っていく車をぼんやりと、どこか悲しそうな顔で見ていたやつと同じとは思えない
｢なんか今の速攻に行ってるみたいでした｣
｢なんかわかる｣
緊張も、気まずさもようやくなくなってきて
一緒にいるのが楽しいと思ってきたその時
突然現れたまさかの存在に全てを壊される
｢お姉ちゃん…誰その人｣
三井の後ろから聞こえた声
2人が揃って目線を声の聞こえた方に向けると
そこには上下ジャージ姿でスポーツバックにバスケットボールを持った小学校高学年くらいの男の子が立っていた
｢お姉ちゃん彼氏なんていないって言ったじゃん！！｣
｢お姉ちゃんは楓にいちゃんとしか仲良くしないで！！｣
誰、と聞く暇も与えないほど一気に言葉をぶつける少年
まるで三井のことが見えてないかのように
ふたりの間に割って入っては妨害し始めた
｢今度はなんだよ｣
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こちめる(プロフ) - なつめさん» はじめましてコメントありがとうございます〜〜😊楽しいと言っていただけて本当に嬉しいです！！とっても励みになります🥲 (2023年2月26日 19時) (
レス) id: b38c8404b7 (このIDを非表示/違反報告)
なつめ - はじめまして！このお話が毎日の楽しみになってます☺️2人の距離感が絶妙で、読んでいてとても楽しいです！無理のない範囲で更新頑張ってください🫶応援してます！ (2023年2月26日 15時) (レス) id: 06b754cdeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こちめる
| 作成日時：2023年2月22日 23時
