#114 ページ14
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｢先輩｣
掴んだ腕はこちらの想像を超えるほど細いものだった
ちゃんと飯食ってんのかと思ってしまうほどの細さ
顔の大きさも、手の大きさも、歩幅の大きさも
こんなにも違うものなのかと思うとほんのちょっと心臓の鼓動が早くなる
｢おー｣
女子の扱いなんてわからないし
何を言ったらいいのかさえもわからないし
気遣いなんてできるほど気の利いたヤツじゃないし
完璧な言動や気遣いを求められるのも得意じゃない
それがどこか面倒に感じていたのに
不思議とAを前にするとそうは思わなくなってしまう
気づくか気づかないかのギリギリのラインにある妙な違和感をかき消すように適当に間延びした声で返事をした
｢もう終わりですか？謎の質問タイム｣
何を考えてるかあまり分からない顔で正直にものを言うところは幼馴染み同士で似てくるものなのかという
小さな疑問が生じる
三井の不器用かつ慣れない気遣いが生んだ一方的な質問は人見知りなAをいつの間にか楽しませていたようだった
自分が話すばっかりで相手は何も教えてくれないのに
それでもAからすればどうしようもなく嬉しいことで
｢え、嫌じゃねぇの？｣
｢全然｣
｢つってもな…もうひと通り聞いたし｣
自分よりもかなり下の位置にいるAの顔を見下ろすと
それに応えるようにAが必死に上を向く
今まで自分の身長の高さを誇りに思っていた三井がこういう時だけ縮まねぇかなと密かに思った瞬間だった
背が高いってのはいいことばかりじゃない、なんて
生まれて初めて思ったかもしれない
｢じゃあ……………｣
信号待ちの横断歩道
何かを口にする三井と偶然前を通りかかる爆音トラック
Aは何とか聞き取ろうと耳を澄ますが
結局は何も聞こえず最初の"じゃあ"しか聞き取れなかった
｢ごめんなさい聞こえなかったです｣
｢はぁ！？お前なぁ…勇気出して聞いたのにそれはないだろ｣
｢そんなに勇気出して聞かなきゃいけないものだったんですか？｣
｢そりゃ……だって、こんなの聞いたことねーし｣
既に何回か見たバツの悪そうな顔
いつも誇らしげな顔をしている三井のこの顔が
Aはどこか気に入っていた
｢じゃあもう1回｣
｢言わねーよ恥ずかしい｣
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こちめる(プロフ) - なつめさん» はじめましてコメントありがとうございます〜〜😊楽しいと言っていただけて本当に嬉しいです！！とっても励みになります🥲 (2023年2月26日 19時) (
レス) id: b38c8404b7 (このIDを非表示/違反報告)
なつめ - はじめまして！このお話が毎日の楽しみになってます☺️2人の距離感が絶妙で、読んでいてとても楽しいです！無理のない範囲で更新頑張ってください🫶応援してます！ (2023年2月26日 15時) (レス) id: 06b754cdeb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こちめる
| 作成日時：2023年2月22日 23時
