36話 ページ37
通知を見てみると跡部さんからだった。
メッセージには"会場の入口で待ってる"と書かれていた。
待たせないために急いで入口へ向かう。
入口が見えてくると跡部さんと樺地くんの後ろ姿。そしてさっき眠そうにしていたオレンジ髪の子がいた。
「跡部〜…オレ眠いから家まで車で送ってってよ〜…」
「だから待ってやがったのかお前。って…もう寝てやがる。」
なんて会話に苦笑いしながら声をかける。
『跡部さん、急に呼び出してどうしたんですか?』
そう尋ねると
「車で家まで送ってってやるよ」
と言いながら、腕を組み直した。
『え〜でも私、バスで帰るので大丈夫ですよ』
やんわりと断る。
優しく気遣ってくれるのはありがたいけど、そんなに甘える訳には行かない。
「ほぅ、あれを見てもそう言えるか?」
跡部さんはニヤと笑い、顎だけでバス停を指す。
バス停には大会を終えたテニス部員で長蛇の列を作り出していた。これは何十分か待たなきゃダメそうだ。
『…』
バス停を見た後、チラリと跡部さんを見上げると
「どうだ?俺様の車に乗る気になったか?」
と言ってきた。跡部さんの車ではないでしょう…と内心思うが、待つことは嫌なのでお言葉に甘えて乗せてもらうことにした。
「じゃあ行くぞ。もう近くに来ているらしい。」
跡部さんはさりげなく私の手を引き歩こうとしたが、それを止めた。
『あ、ちょっその子…連れてかないんですか?』
さっきから柱にもたれ掛かりながら座りイビキをかいている男の子。置いていかれたら、朝まで起きなさそうなくらい気持ちよさそうに寝ている。
「おっと、忘れてたぜ。樺地、そいつ担いでやれ。」
「ウス」
樺地が眠っている男を担ぐ。担ぐときの揺れでか男は「ん〜…」と眠い目を擦りながら起きてしまった。
ぽやぽやとした顔で周りをキョロキョロしている。そんな中、私と目が合うとパチリと目を開けて樺地くんから降りようとジタバタとしだした。
「なんか可愛い子がいるC!!」
降りると、私の両手をつかみ上下に振りながら
「ねねっ!何チャン!?」
『AAです…』
起きると意外にも明るくその圧に押されてしまう。
ギャップがすごい…かわいい…
「オレね!芥川慈郎!」
弟のようにかわいい彼はわんちゃんのようだった。
ふわふわな彼に思わず顔が緩む。
『うんうん!よろしくね、ジローくん!』
なんて可愛いんだ。一家に1人欲しい。
「はぁ…A…」
ため息をつく跡部さん。
どうしたんだろう?
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ぽぱい(プロフ) - 名無しの漫画好きさん» 読んでくださりありがとうございます!( > < )新しいネタが出てきたら書こうかなと思います! (9月1日 17時) (レス) id: 345af002c8 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの漫画好き - めっちゃ面白いです!もしよかったら、他にもテニプリの作品を作ってほしいな❤️なんて。生意気言ってすみません(>人<;) (8月28日 22時) (レス) @page1 id: 7537c863d1 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぱい(プロフ) - とりあえず名無しさん» わー!間違えてました!報告ありがとうございます!それに褒めていただけるなんて恐縮です…( ; _ ; )♡ (2023年1月6日 23時) (レス) id: 345af002c8 (このIDを非表示/違反報告)
とりあえず名無し(プロフ) - あ、突然すんまそん。もしかしたら阿久津じゃなくて亜久津かもです!あとこの小説めっちゃ面白いです!これからも応援してます! (2023年1月6日 22時) (レス) @page31 id: 8d884a290d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽぱい | 作成日時:2022年12月15日 23時