僕 ら と 彼 女

【君との出会い】 ページ2

紫




第一印象は笑顔が素敵なちっちゃい子。



少し前に入ってきた小瀧望という子は大人びてて完成しきってた風に感じたけど、小瀧とは同い年には見えない、至って年相応な子っていうイメージやった。

ただ、この子は特例っていうのは関西ジュニア全員が知っていたし、分かってたんやと思う。



当時の事務所と言えば、いくつものメディアに注目されていた" ある "プロジェクトが始まったばかりだった。



それが、事務所初の女性アイドルグループの結成。

全国から何万も応募があった中で受かったのがたったの数人、たしか五、六人やったと思う。



Aもその中のひとりやった。



ただ、ほかの合格した子はみんなバラバラの出身地から東京に移り住んだらしいけど、当時まだ小学生やったAには到底不可能。

Aだけ、地元の京都から通える場所が活動の中心地だった関西ジュニアへとやってきたわけや。



そうなると、" 彼女 "だけ東京での撮影に呼ばれないなんてことはザラにあって。

極めつけは、オーディションに合格した子らの顔を初めて見たのはテレビやったとも言ってた。



その通り、東京におる同じオーディションで受かった奴らは、注目のさなか地上波にも出て、すぐにデビューしたみたいな待遇。

それに対して、Aは俺ら関西ジュニアと同じレッスン、同じ舞台。



用意された待遇には雲泥の差があるのは一目瞭然。

絶対に悔しい思いしてたはずやのに、そんな素振り見せんと本人は平気な顔してて。



そんな女の子を俺らが嫌いになるはずが無かった。

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