スヤリス姫と魔王城にて。

プロローグ ページ2

かつて、人と魔が交わり、共に存在した時代。
人々は統一国家カイミーンによる長い治世のもと、笑い合い、幸せに暮らしていた。

しかし、その安定を乱す魔王が地の底より現われ、人々にこう言った。
「人の国の姫と王子はいただいた！」
「返して欲しくばこの世の支配を全て魔のものに引き渡せ！」
「姫さま！！」「王子さま！！」

その言葉に国中は怒り、悲しみにくれ、姫と王子を想った。
「あぁ…スヤリス姫…スヨリム王子…」「どうかご無事で…」

そこへ、1人の青年が声を上げた。
「国民よ！顔を上げてくれ。」
「我々が必ず、姫と王子を魔王城から救い出す！！」
「ワァー！」「勇者様！！」
「勇者様、しかし魔王軍は強大ですぞ！旅の苦しみは計り知れない…」
「いや、そんなもの些細なことだ。」
「そう…遥か彼方、遠く地の果ての魔界へとたった2人連れ去られたスヤリス姫とスヨリム王子の苦しみに比べたら…」

誰もが皆、勇者の言葉に頷き、姫と王子を心より案じていた。

そして攫われた姫と王子はいま、頑丈な魔王城の牢へ幽閉され、苦悩していた−−

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