極道さんに懐かれました。

ラウール ページ15

雪乃組でお世話になって、
未だに、仲良くなれない人が二人居る。

それは、渡辺さんとラウールくん。

後者のラウールくんは、現在高校３年生。雪乃組の情報の要。
表には公表されていない。まだ、組員じゃない。

だから、初対面のときにあれだけ私の情報を持っていたんだなと、今思う。

仕事がなくなった私は、朝ごはんと夕ごはんの準備をさせてもらっている。
ついでに、ラウールくんのお弁当も作っているけど、まだ一度も持っていってもらったことはない。
そのお弁当は私の胃の中か、みなさんがお昼ごはんに食べてくれる。

そんなある日の朝、

『ラウールくん、はいこれ。お昼のお弁当』

渡そうとすると、手の上に乗っていたお弁当箱が弾き飛ばされた。

ラ「そういうのいらない。二度と作らなくて良い。」

お弁当は見るも無惨な形になってしまった。

岩「ラウッ！！」

深「Aさんごめんね。せっかく作ってくれたのに。」

２人がラウールくんに怒るがそっぽを向いて、学生カバンを引っ掴んで出ていった。
おかずを拾い上げながら、そういった。

『ううん、年頃の男の子はそういうものだよ。それに知らない人が急に家に来たら嫌にもなるから。』

自分に言い聞かせるように繰り返し言った。
その日の夕食、ラウールくんは広間に来なくて、それから顔を全く合わせなくなった。

岩本さんや深澤さんも同様に顔をラウールくんと合わせていないそう。
だけど、レンくんや向井さんとは普通に話したりしているらしい。

全く合わなくなってから、１週間くらい過ぎたある日。
お屋敷には私一人で、いつも誰頭がお屋敷に居てくれたんだけどどうにも外せない用事で全員出かけている。

そろそろ、ラウールくんが帰ってくる頃だと思いながら夕ごはんを作って待っているのだけれど、１９時を過ぎても帰ってくる気配はない。

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