もっとスキを与えてほしい【角名】

０９ ページ10

「あ、すなりんだ！ん？焼けた？」

「いや、すなりんだ！じゃなくて…何してんの」

「んん〜、考え事、かなぁ」


夏休み明けの 学校はかったるいけど

1週間もすれば 日常は取り戻せた。

変わったことといえば、

クラスメートが焼けまくってたことと、

Aが恋人として隣にいてくれる事と＿＿



「HR もう始まるよ。教室行こう」

「…あそこには行きたくないですね〜」


休み時間、Aがやたら屋上に行くようになったこと。

屋上に行きたいんじゃなくて、教室に居たくないらしい。



「…確かに気まずいのは分かるけど」

「ん？何が？」

「侑…よく1組にくるじゃん」


夏休み明けから、侑と桃井さんも仲の良さが増して

よく2人で話してる。

元好きだった人と自分の1番の友達の 仲睦まじいところは

やっぱり見てていい物じゃないんだろう。



「あぁ、そうだね。…すごく幸せそうだもんなぁ。
でも 今はすなりんが大好きだもん。それはもういいの」

「じゃあ、なんで？」

「……ん〜、なんだろう。なんか…
後ちょっとで完成する超、超、長ーいドミノに、
誰も近づけたくない！的な、やつ」

「…なるほど」

「え、分かったの！？」

「いや、全く」



まっったく、何が言いたいのか分からない。

ただ一つ、Aはまだ

俺とは別のモノに後ろ髪を引かれている。

それだけは 何となくだけど察した。


それが人なのか、物なのか、事情なのかは分からないけれど。








「…桃井さん、心配してたよ」

「マコには侑くんがいるよ」

「でも Aにしか出来ないことは ある」

「………すなりん、」




暫くだまっていたAが ふと口を開いた。


「……私、すなりんには黙ってたんだけど
宇宙人なんですよ、実は。









…って、言ったらどうする？？」



急な話のぶっ飛び具合に、そのまま宇宙まで

飛んでいってしまいそうな俺の意識は

HR開始のチャイムのおかげで

何とか現実に留まった。

１０→←０８

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す