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「ごめん、…人生でこんなに人に
ありがとうって思ったことなくて ありがとうじゃ足んない」

「寿司でええよ。回らんやつな」

「有償かよ(笑)」




良かった、俺、喋れてる


鼻の奥が血の味するけど









「A、…A」



キツく抱きしめてた腕を緩めて、Aの顔を覗く





「うっ…うぅごめんっ…ご、っ…め、なさい、ぅっ、」





顔も、髪も、ぐしゃぐしゃにして

声を上げて、子どもみたいに泣いていた。



救急車のお兄さん達が、Aと俺を

毛布で包んでくれる。



毛布の上から、俺はただ Aを抱きしめた。

この小さな、細くて、頼りない身体で

10年間も、誰にも言えずに苦しんできたAに

ただただ、 独りじゃないからと 教えたかった。


「…村崎さん」


治が、ゆっくりと語りかける。



「村崎さんは、…パン派なん?」




やっぱり、治は気付いてた。

Aは ゆっくり、小さく頷いた。




「俺は おにぎり派なんやけど」


選択肢にないんだけど


「パンも、美味いよな」


Aは 魔法の言葉を教えてもらった、

子どもみたいな表情になった



「パンも、ご飯も、おにぎりも…色々あるけど
全部美味いし、これ好きなんが当たり前とか普通とか
どれが1番とか、ないやんか」


Aは また頷いた。

治はそれを見て 安心したように頬をゆるめた。



「せやから、何が好きでも、全部好きでも
なんも、悪いことなんかないで」



「…り…が、と……ぁ、…と…」



Aは 何度もお礼を言いながら

治に頭を下げた。









Aと俺は 一応救急車で 病院に行った。


Aは 無傷。俺も 右腕を打撲しただけで


その日には帰れた。




帰り、俺は無理を言って親とは別に帰った。



「A」




Aと、話をするために。

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s.s - つばきさん» 作者です!訳あって別アカウントから失礼します。 頑張って練ったので凄く嬉しいです、、(;_;) まだまだへっぽこですが 入試終わり次第また新作にチャレンジしようと思います!!ありがとうございます!! (2021年2月3日 11時) (レス) id: 135308203f (このIDを非表示/違反報告)
つばき - きっと私は、この小説を読むために占ツクを漁っていた。これが読みたかった。ありがとう。筆舌に尽くし難いほどの歓喜と共に読ませていただきました。伏線の入れ方とかもうストーリー性から描写から何から最高。あなたが神だ。 (2021年1月31日 12時) (レス) id: 7e989e701c (このIDを非表示/違反報告)
サクサくぱんだ(プロフ) - ユズさん» ありがとうございます!!!夢の塊ですがそう言って頂けると凄く嬉しいです、! あの作品難しかったですよね← 新作も頑張ります!! (2020年10月30日 7時) (レス) id: 486bda84af (このIDを非表示/違反報告)
ユズ - 作品すべて読ませていただきました!色々な所に伏線があって、最後は治がとてもいい役を果たしていて感動の涙が止まりませんでした!終わり方もとてもスッキリしていてよかったです!ちなみに私も国語の授業で同じ文章を読みました!これからも応援しています! (2020年10月28日 21時) (レス) id: df83c7a060 (このIDを非表示/違反報告)
サクサくぱんだ(プロフ) - 至ってノーマルさん» めちゃくちゃありがたいお言葉ばかりです(;_;)すごく嬉しかったです!!次も頑張ります! (2020年10月22日 22時) (レス) id: 486bda84af (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サクサくぱんだ | 作成日時:2020年9月7日 12時

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