焼 き 餅 は 狐 色【角名】

ナイスタイミング ページ8

Aside


「これは夢か…真か…」


休日の部活を終えて、家に帰って

着替えとか色々終わらせたあと

自室にこもる。

ベッドの上に正座して、スマフォ画面と向き合った。


画面に表示されてる、数日前の角名くんとのトーク。


『宜しく』


男の子らしい短いメッセージの後ろにタヌキの

絵文字がついてる。 完全に 私で遊んでる。


『よろしく〜』


私もそう短く返して 後ろに狐の絵文字をつけた。

角名くんぽい狐さんをね。



その数分後に 『笑笑』てきてたんだけど

全く返し方が分かんなかったかは

d(˙꒳˙* )的な感じのスタンプを送って

終わらせてしまったきり、会話は途切れている。



来週の土曜日に 休みが入ったと連絡したいのだが

あの約束は本当は夢だったのではないか…と思うと

そう易々とは送れなかった。


「『え、あ、冗談のつもりだったんだけど。』とか

言われたら私の豆腐メンタルは死ぬよ！！！」

「Aちゃん、お昼やけどおじいちゃん

寝てるから静かにしてやってなぁ。」

「ごめん おばあちゃん！！」


部屋のドアをコソッと開けて そう言ったおばあちゃんに

かるく謝って、再び画面に視線を戻す。


「…角名くんのアイコン、可愛いな。」


アイコンには 角名くんの飼い犬らしき写真。

ホームはバレー部の集合写真。

ミュージックは 最近流行ってるアーティストの曲。


「…やだ、なんか私変態みたい。」


やっとのやっとで 追加できた角名くん。

LIMEしなくてどうするんだ、私！！


「来週の土曜日、お休みだった…あ、『たまつた』て

打っちゃった。」


誤字脱字のないように 一字一字確認しながら打つ。

声 出ちゃうんだけどね、仕方ない仕方ない。

恥ずかしい思いするよりは全然マシ



そう思ってゆっくり うっていたその時。









ピコン




『やっぱ吹部 休みない感じ？』





「……え」





ピコン



『既読 はや(笑)』









続けて２件送られてきたLIMEに

思わず思考停止。


送った直後に既読ついたなんて

絶対 トーク開いてたって思われる

それは 私にとっては

誤字脱字よりも 余裕で恥ずかしいことで。





「うわああああああああああああああああ！！！！！」


「Aちゃん、静かにな」

「はい！！！！！！！」





恥ずかしさのあまり 枕に顔を埋める。

まあ その間にも


ピコン

ピコン

の着信は 止まらない。

call→←かわいい角名くん

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