悔しいけど ページ6
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”亮くんにちゃんと言わなきゃいけないから言うね？”
嫌だ、嘘だと言って。何も言わないでほしい。
”私、結婚を前提にお付き合いしてる人がおるの”
でも願いは当然のごとく届かなかった。恋愛解禁が言い渡された日、Aは自分の過去を赤裸々に話してくれた。
”……そう、か”
”その人はね、私が小さい時からずっとそばにおった人で、幼馴染なの”
幼馴染なんて絶対に勝ち目がないやん……
”いつか挨拶に行きたいって言うてくれてんねんけどね、日本ハムの西川遥輝が幼馴染で彼氏です。今まで隠しててごめんなさい”
そりゃ幸せそうだったもん。俺は西川選手が豊橋駅の前でタクシーを探しているのを見ていた。
西川選手に支えられながら、うつらうつら、と今にも眠りそうなA。そんな彼女を愛おしそうに見つめる。
”すみません”
よく似たカップルだと思いたかった。でも本物だった。認めざるを得ない現実に胸が抉られそうになる。
いくらチャラくても、喫煙者でも、元彼と同じ名前でも、Aを満たす何かが西川選手にはある。幼馴染にはとてもじゃないけど敵わない。
俺が幼稚園からの幼馴染の増田を信用するように、2人から心からの信頼関係が目に見えた。本当に悔しくて悲しくて、つらいけど……
”謝らんで？
……何も悪くないよ。すごいじゃん、彼氏がプロ野球なんて”
泣き出したい気持ちを押し殺し、必死に、Aの幸せを願おうと笑顔を見せた。でも俺もAの彼氏になりたかったよ。
”だからこの前の日本シリーズで泣いてたんだな……”
”ちょっと……、なんで覚えてんねん……”
俺も陸上選手になっていたら、何かしらのスポーツ選手になれていたら……
むやみに恋愛禁止だなんて言わなければ……
後悔は尽きない。きっとこれからも、ずっと。
「西川遥輝ぃ！？ はあ！？ 幼馴染！？」
俊光の大声が響く。
「こんな身近に西川選手の知り合いがおったん！？
そりゃあの満塁ホームランは泣くよなあ……」
『としくんも掘り起こすじゃん……』
Aはベッドの上で縮こまった。
『でもね、不安なんだよ？』
「ん？ どうしたん？」
Aは心境を話した。
嬉しいけど不安だ。プロ野球選手としての西川選手を支えられる自信がない。遠距離恋愛を乗り越えられる気がしない、と弱々しく。
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はりゅぴ@sechs(プロフ) - いつも拝見させていただいております！夢主ちゃん可愛いです!更新頑張ってください！ (2020年7月19日 0時) (
レス) id: 4b98fb0ef7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2020年3月5日 21時
