Aimer Ⅴ (ページ3)

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久々に恋愛関係で嬉しい話題やで、とあかりは私の横に座った。

「おめでとう。もう絶対離れたらあかんよ？
西川くんとAは2人で1つみたいなもんなんやからね？」

『うん』

「あの人ほんまにAのこと好きやし、同じハルキでも天と地の差やで」

……うん、分かるよ。あいつ……遥貴くんとは大違いだって。

「まあAが1番分かるか」

優勝旅行でハワイに滞在する今、寝起きの遥輝から電話がかかってくる。時差のせいで私が寝る直前にかかってくるけど……

”おはよぉ、ふああ、眠っ……”

”おはよう。私も眠い……”

”そっか、そっちは夜やもんな”

”うん……、おやすみ……”

”おやすみ”

”おはよう”と”おやすみ”を言い合える時間がくすぐったくて楽しい。こんなにも大好きになれるなんて思えなかったし、遥輝の声を聞いて眠れるのが幸せなんて……

「Aちゃん？何考えてるんですか！」

『何が？』

「顔赤いっす」

意外とはれんち、とからかってきた慎吾くん。ドヤ顔が遥輝に似ていてムカついたからテーブルの下で足を蹴った。

「なんで蹴るねん！？」

『うるさい』

「んははは！！！」

こんな賑やかな夜もたまにはいいかもしれない。

「大体俺、遥輝さんからもAちゃんからも報告受けてへんねんけど！」

『マジか。遥輝のことやから報告済みやと思うてた』

「初耳ですよ！」

プンプン怒る慎吾くんは残りのもつと野菜をぶち込んだ。

「仕方ない。その程度の後輩なんやない？」

多分忘れているだけなんだろう。でも日々を野球に注ぎ込みすぎてめっちゃお世話になってる後輩に言ってないってやばい。

『そんないじわるしやんとってや』

あかりのせいでみるみるうちに慎吾くんの顔が曇っていく。

『あかり、どうしてくれんねん』

「さあ。もつ鍋食ったら戻るやろ」

「そんなちょろないわ！」

うん、戻ったな。秒でいつも通りやわ。一応どれだけ遥輝が慎吾くんを気にかけているか知っているつもり。今回は本当にたまたま忘れていたんだろう。

「遥輝さんってどんな感じなんすか？」

『……びっくりするぐらい、優しい』

「マジで？俺には厳しいのに？」

「昔からAにはめっちゃ優しいで？元カノ達よりもね」

「やば」

大人の恋バナは煮える鍋のように深みを増した。