Aimer Ⅴ (ページ17)

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ギリギリまで頑張り、正午になった。ワイパー、雑巾がけをした床は綺麗になり、窓も曇り1つなく輝く。

「ああ疲れた……」

「疲れるくらい溜め込むなよ」

徹也がソファーでぐったりしている。普段から掃除しろ、と言わんばかりにざわくんはゴミのように徹也の横腹を蹴たぐった。割と強めにヒットしたらしく、

「いってえええ！！！」

「あひゃひゃひゃひゃ！！！」

悲痛の叫び声と夢丸の独特な笑い声が轟いた。

そんな時にピンポーン、と家ベルが鳴る。もうすぐ着く、とLINEが入っていたからきっと西川選手とAだろう。

そばにあったカメラを持ち、電源を入れて1階に下りる所から録画をスタートさせた。

「はーい！」

ドアを開けるとやはり2人が立っていた。

『おはよう！今日は時間取ってもらってありがとね？』

「おはよう。いいよ！こちらこそ紹介してくれてありがとう」

黒のハイネックタートルワンピースにタイツを合わせ、首元はネックレス、耳はピアスが飾られる。ショートボブはウェーブがかかり、前髪は上げるアレンジが施されている。

東海オンエアで見せるより女らしさが増した姿に内心ドギマギした。

「初めまして、Aとお付き合いさせていただいてます、北海道日本ハムファイターズの西川遥輝です」

「こちらこそお世話になってます、東海オンエアの福尾亮です」

西川選手も白と黒のボーダーのタートルニットに黒スキニーがよく似合っている。

身長は俺の方が高いけど、西川選手も高身長でスタイルがいい。おまけに鍛えられている。極端なアシンメトリーも似合ってしまう顔面がある。

「どうぞ上がってください！」

俊光がいたら大興奮なんだろうな。仕事で来れそうになく残念そうだった。

『この家は1階が玄関と物置で、2階にリビングあるねんで？』

「へえー、そういう作りなんや」

2人が階段へ上る。繋がれた手が親密な関係を表す。将来誓うであろう永遠のために後ろ姿もカメラに収めていく。

……自分自身も現実を受け入れなければいけない。心が痛い。恋をして綺麗になった姿に泣いてしまいそうになる。カメラを持つ手が震える。

『おはよー』

「おはよう！遥輝くんもお久しぶり」

「お久しぶり。ちっちゃいな」

「失礼だな！？」

ざわくんは会ったことがあるのか。同い年だし打ち解けていた。