Aimer Ⅴ (ページ15)

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盗塁王ページ15

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今日は午前中家で俺は筋トレ、Aは正月に出すらしい東海オンエアのサブチャンネルの編集をして、午後から出かけることになっている。

『……何この動画』

何を見せられてんねん、と嘆くから画面を覗けば、いっぱいにてつやくんとりょうくん、男2人の入浴シーンが映し出されていた。

”申年だあ、申年だあ！”

”クロスビデオには載せないで！”

『あいつらほんまに許さん。レディにこない動画の編集させやがって見えてるやん普通に！』

「モザイクかけな」

『それがめんどい……』

しっかり見えてしまっている毛がAの操作によってモヤがかかっていく。

めんどいことをしてくれるおかげで曇って見えなくなった。一昨日ずーっとゲームをしていたらしいてつやくんは無精髭で顔が汚らしい。気にもとめずに恋ダンスを踊っている。

『こんな人達やけど大丈夫？てっちゃん臭いし汚いよ？』

「でもいいやつそうやで」

『そうなんやけどさ』

汚いにも程度がある。自分が耐えられるくらいやったら大丈夫や。

午後から出かけるっていうてもデートをするわけやない。夜は2人で飯を食いに行くけど、その前に1度Aの仕事仲間に会っておかなくてはならないと感じた。

『まあ今頃りょうくんとざわくんにしばかれて大掃除してると思うから、少しは快適になってるはず』

「そんな汚いんか」

『白靴下は絶対にやめといた方がいいね』

全然床掃除してへんやん。でもAが言う通り掃除してくれているなら……、いや、汚れてしまったら……

何を着ていこうか悩んでいるうちにAの耳にヘッドホンが覆っていた。

集中モードにさしかかる彼女をを横目に、俺も体がなまらないようにもうちょっと頑張ってみよう、と決意する。日本一は嬉しかった。でもあと10日もすれば来シーズンへの前哨戦……自主トレが始まる。浮かれてなんていられない。

「んっ、ふんっ……！」

さらなる高みを求める。どんどん体を鍛えて強くなりたい。チームのためになりたい。

”来年はベストナインだけやなくてさ、ゴールデングラブ賞も盗塁王も獲って2連覇達成、2年連続日本一やろ？”

”鬼畜か！ 2連覇も盗塁王もゴールデングラブ賞も欲しいけど！”

突っ込みながらも本気にさせてくれるあたり、監督並みに俺の扱いが上手いよなあって思ってみる。