Aimer Ⅱ (ページ10)

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でもやっぱり納得いかんわ。遥輝はドスッ、とソファに腰かけてご飯まで要求してくる。

「今和食の気分やねん。肉じゃが食べたい」

『バカやないの？材料ないし却下』

しかも今日食べて来てるし。

「ええ……」

シュンと肩を落とされても動じない。

『そんなに食べたいならスーパー行って自分で作って』

「俺料理できひん……」

『じゃあ我慢して』

じゃがいもに味を染み込ませるのは時間かかるんだから。まあ、明日は作っといてやろうかな。

コンビニで買ったものを冷蔵庫に入れるついでに、今何が入っていたっけ、と中身を確認する。卵に鶏もも肉、ケチャップと玉ねぎがある。ついでにバターも。冷凍庫には冷ご飯とミックスベジタブルがあったはずだ。

『よっしゃ』

肉じゃがは作れない。でも遥輝も知っているはずの我が実家の味なら作れる。

『遥輝、お風呂入ってきて』

「うん。あっ、シャンプーある？」

『それも持ってきてへんのか。男物があるからそれ使っといて』

「何で男物があるんや！ A、まさか……」

相変わらずこいつはよからぬ事を……

『泊まりに来るメンバーが持ってきてくれたの。彼氏はおらん。アホなこと言うてたらご飯抜きやからな』

「はい」

しょんぼりしてリビングから出ていくのを見送ってから、レンジに冷ご飯のタッパーを3つ入れてスイッチを押す。味は落ちてるかもしれないけど、チキンライスにしちゃうから許されるよね。

温めている間にまな板と包丁を準備して、鶏肉は歯ごたえが残る程度に細かく切る。

フライパンを熱し、バターをひとかけら溶かす。切った肉を炒める。火が通ったらご飯をぶち込む。

どれだけ食べるのか想像できない。でもアスリートをしているのなら、多分沢山食べるんだろう。焼肉の時もめっちゃ食べてたし。余ったら明日の朝ご飯に回せばいい。

ミックスベジタブルを適量ばらまいて全体にまとまりができたら、ケチャップを入れて少し炒めてチキンライスは完成だ。

『よっしゃ……』

次がメインイベントと言っても過言ではない。ボウルに卵を2つ割って落とす。生クリームがないから代わりの牛乳と一緒に混ぜ合わせる。

「上がったでー！」

『早っ』

「腹減りすぎてシャワーだけにした。めっちゃええ匂いする」

『ちょっ、パンイチで上がってくんなや！』