Aimer Ⅱ (ページ41)

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Aがサラダを作り始めるのをボーッと眺めていると、俺のiPhoneから呼び出しを食らった。相手は……

「うわ、邪魔される気しかせえへん！」

『出たら？』

「出たら100%飲み誘われるで？」

『ここ北海道やないんやから誘われても行けへんやん』

「あ、そっか」

それなら出てやろう。スライド操作で電話に出れば、聞き馴染みのある声が耳に届いた。

「もしもーし」

「遥輝出るの遅いやん」

「俺も忙しいんですよ」

嘘、めっちゃボーッとしてた。

「嘘つけ。本題なんやけどさ、今、宮さんと卓と拳士で飲んでんねん。遥輝もどう？」

「ごめんなさい、俺札幌にいないっす」

「そう言うと思った、今東京におんねん」

どうやらAの耳にも入ったらしい。ニヤリ、と企んだ笑みを浮かべた。

「大将、俺東京にもいないっす」

「は？お前今どこにおんの？」

「秘密です」

Aが簡単な野菜サラダをテーブルに置く。コトッ、と音が鳴る。口パクで誰と話してるの、と質問してくるから、

「ん？中田翔さん！！！」

わざと大声で答えた。

『えっ！？中田選手と！？』

Aは声を上げて驚いている。

「おい、その女誰やねん！」

でもそれ以上に大将が驚いている。

「お前彼女おらんかったんやないの！？」

「実はできました！今彼女のとこにおります」

「やっぱあのスーツケースはそういうことやったんか！」

良かったやん、と喜んでくれた。ジャイアンやけどこういう兄貴気質な所が選手から指示を集める。

「で、紹介は？」

「とりあえず変わりますわ」

iPhoneを渡すと、Aは全力で首を横に振った。

「Aが出てくれな、中田さんナイーブなジャイアンやから落ち込むで？」

「変なこと吹き込むなー」

聞こえてんぞー、と警告を受けたからなおさら出でくれなあかん。スピーカーに切り替えて催促すると、観念したようにiPhoneを受け取った。

『……初めまして、西川とお付き合いさせてもらってます、南條Aです』

「こちらこそ遥輝が世話になってます、中田です。……もしかして噂のAちゃん？」

『噂？』

「遥輝な、酔っ払った時、必ずAちゃんに会いたいってうるさいねん」

……待って、俺酔っ払ったら口移ししてまうだけやなかったん？

唐突な暴露に俺は赤面してしまった。