Aimer Ⅱ (ページ34)

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『今日は何食べる？』

「え？」

思わず間抜けになった。辺りが暗くなり、Aも疲れてるやろうから外食にしようと思っていた。

「作ってくれんの？」

『そのつもりやけど。昨日肉じゃがが食べたいとか言いよったから、それにしようかなあ思うてる』

そういえばそうやったな……
わがまま言うた結果、オムライスが出てきて満足したんやった。

「いや、ええよ。A疲れてるやろ？岡崎に帰ってから外食しようや？」

さすがに気を使ってまう。ここは俺が……

『別に疲れてへんよ？どうせスーパー行って明日の朝と昼の材料買いたいし、ちょっと手抜きにはなるけど夜も全然いける』

本人はいたってケロッとしていた。Aの手抜きは俺にとっての本格的な自炊やろう。

……でも手作りのご飯を食べたい自分もいる。たった1日で見事に胃袋を掴まれてしまった。オムライスも朝食も美味かったな。他のも食べてみたい……

いや、待て。Aも疲れてるはずやん。遠慮して疲れてない言うてるけど、ヒールで歩き回って足パンパンなはずやで？

そんな子に炊事してもらってええのか？また立ちっぱなしやで？

肉じゃがなんて絶対時間かかるやろ。

『ねえ、どうするん？』

「ちょお待って。今自分と格闘してんねん」

『何で格闘？』

意味分からん、とAはくすくす笑っている。

『岡崎着いたらとりあえずスーパー行こうか』

「おう」

きっとこの間にもAは明日は何を作ろうとか、今日は何を……、と考えてんねやろうな。車の中では中学の時に流行ったドラマの主題歌が流れる。

”ねえねえ！この前の松潤めっちゃかっこよかったよな！！”

”Aは道明寺かー。私花沢類好きやから道明寺止めてー！！！って思うてた”

あかりさんと2人で盛り上がってたな。映画が公開された時はもう和歌山におらんかったから、きっと他の誰かと見に行ったんかな。それが彼氏やったら……、と思うと胸がキュッと苦しくなる。

『ねえ、ハルさん』

「なんやねんその呼び方」

はるちゃん並みにむず痒い。

『何となく。あのね、提案があるんですけれども』

「提案？」

へへっ、と無邪気に微笑むAは、

『一緒に作ろうよ！肉じゃがはどっかに回して、今日はカレーでもどう？』

「……ええやん」

また俺の心を掴んだ。