Aimer Ⅱ (ページ32)

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ねえページ32

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鼻が当たる。初めて交わった唇から伝わる緊張は俺だけのものやない。たった一瞬はひどく長く感じた。

『遥輝……』

とろけた瞳にまた吸い込まれそうになった。初めて聞いた甘い声に頭がクラクラする。

「……俺、ちゃんと認められてたんやな」

それがどれだけ嬉しかったか。俺のことなんて一切見てくれていないと思っていた。諦めていた。

『ねえ、遥輝』

「ん？」

『私、遥輝が活躍してる所、もっと見たい』

幾度となく挫けそうになって、その度にAも頑張ってるから自分も……、と鼓舞した。でも実は俺の知らない所でAが見てくれていたなんて……

「頑張る。来年もっといい成績残す」

『囁かながら支えさせていただきます』

下手なことはしてられへん。これからはAという、心強くて頼もしい原動力がおる。今年以上に来年はもっと……
この笑顔を濁らせないように、曇らせないように。

『距離は遠いけど、心で繋がろうね？』

照れながらはっきりと言ってくれたAにもう1度キスを落とした。

……緊張してギュッと目を瞑る所、めっちゃ可愛いな。

「よっしゃ、ちょっと買い物して行くか」

『うん！』

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『……ねえ、遥輝』

「ん？」

『ベルーガって何でこんなに可愛いんやろ……』

うん、よく分からんけど、水槽に釘付けになってうっとりしよるAが1番可愛いと思う。

目的地に着いて1番最初に訪れたのはベルーガの水槽やった。どうやら北極のシロイルカのことのようで、Aはジーッと見つめて離れようとしない。

『わっ！』

「おっ」

『バブルリング……！』

一緒に眺めていれば、ベルーガの口から空気の輪っかが飛んできた。子供みたいに目がキラキラしとる。

こいつこんな可愛かったっけ……、とまたAが可愛いことに目が向いてしまう。

『はあ……、可愛かったあ……』

ため息をつくほどに魅了されていたらしい。シロイルカに可愛いと言うけど、Aの方がとんでもなく可愛かった。目の前の動物に集中できひんかった。

「なあ、A」

『んー？』

「……お揃いのキーホルダー、買おうや」

『え？』

丸っこい瞳は意外、とでも言いそうだ。

『ベルーガちゃんとかイルカの？』

「どれがいいかはAが選んでくれたらええけど……、とにかく買うで！」