Aimer Ⅱ (ページ24)

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もっと可愛くなった自分で告白されたかった。

すっぴんとネグリジェ、メガネとボサボサの髪の毛をヘアバンドとヘアゴムで誤魔化した姿で好き、なんて言われると思ってなくて……

「美味っ、朝から幸せやなあ……」

『それは、どうも……』

でも遥輝もなかなか素をさらけ出している。顎はともかく無精髭が人中やら頬やらに生えているし、まだ顔は浮腫んだままやし。

可愛くない私に好きと言ってしまう遥輝はなかなかの変人だ。でもかっこ悪い遥輝に好きと言えてしまう私もまた、同じくらい変人なんだろう。

「もっと嬉しそうにしとけ。この俺が褒めてんねんから自信持て」

よく言えば素の部分、飾りを捨てた部分まで好きでいられるってことなのか。

『ハルキング？』

「ちゃうわ。そっちやなくて彼氏が褒めてんねんから自信持て」

ドキッとした。彼氏、か……
そうやんな、もう遥輝は幼馴染以上に彼氏なんやもんな……

「胃袋まで掴みやがって。札幌帰ったら恋しくなるやん」

ポっと頬が熱くなった。

「連れて帰りたい……」

遥輝にもそんな感情があったのかという意外性と、その寂しげな顔の奥にある1週間のタイムリミット。来週の今頃は1人なんだなあ、と思うと急に寂しくなる。

『もっといてもええよ』

「え？」

『私も遥輝と、一緒におりたい……』

ポロッと零れた本音が遥輝の目を丸くした。やっちゃった……。恥ずかしさが振り切れた。耐えかねて箸を置き、両頬をつねる。

「ちょお待って。今どういう感情なん？」

『恥ずかしすぎて隠れたい』

「それが照れ隠し？」

うんと頷けばおもろいやつ、とゲラゲラ笑うその顔が好きだ。

「今めっちゃ嬉しかったのに全部持っていかれたんやけど！」

『いいもん……
持ってけバカヤロウ……』

「壊れた……」

『誰のせいで壊れたと思ってんねん……』

穴があったら入りたい。顔が熱く、まともに遥輝の顔を見れない。先にご飯を食べ終えてキッチンで食器や箸を水にさらす。

「でもそういうとこも好きやで！」

『体重かけるなあ……っ！』

遥輝はすぐに追いついて後ろから抱き着いてくる。トクトク、と感じる胸の鼓動は無邪気さとは裏腹に早い。

「ほんまに好きや……」

でも自分も我を忘れるほどに遥輝が好きで好きでたまらない。一挙一動に惚れていると自覚した。