Aimer Ⅱ (ページ20)

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なあページ20

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朝7時、なかなか起きられずにグズグズしながら目覚ましを止める。普段は2度寝くらいして8時に起きるけど、今日はそういうわけにはいかない。

『はあああ……っ、眠っ……』

灰色ボーダーでモコモコのネグリジェワンピースに丸メガネ。前髪はヘアバンドで、後ろ髪はゴムで括る。優雅……という訳にはいかないまでも、それなりに身なりを整えて洗面所へ向かう。

まずはデンタルリンスで口をすすいで、洗顔のためにメガネを取る。顔はお湯と洗顔フォームで洗う。泡を洗い落としたらまっさらなタオルで優しく拭いて、化粧水と美容液、乳液で整える。

頭の中も冴えてきて、ようやく怠さが抜けてきた。

『……よし』

朝ご飯作ろう。ここまで15分、モーニングルーティンなんて動画を撮ったら面白そうだなあ、と思いつつも寝起きが悪すぎてドン引きされてしまいそうだからやめよう。

リビングに入ればまだ客間の襖は開いていなかった。本体もおらんし寝てるか。無理に起こすのはやめとこ。

キッチンに入って寝ぼけた頭で昔の記憶を掘り起こす。

遥輝は確か嫌いな食べ物はなかった。

ただ大のご飯党でご飯のお供なんて無視してしまうほど、白ご飯が大好きだ。その代わり美味しいご飯じゃないと箸が進まない。まあ、そこらへんは大丈夫。新米と美味しいご飯が炊ける炊飯器がやってくれるはずだ。

軽くお米を研いでスイッチを入れたら、次はおかずの準備に取り掛かる。

一応解凍しておいた塩鮭を魚焼きロースターに乗せ、フタを閉めてヒーターの上で焼く。味噌汁はオーソドックスにワカメと豆腐にしよう。

その間にレンジで冷凍ほうれん草を解凍する。余分な水を絞ったら胡麻和えの素と合わせて小皿に盛る。

時々鮭の焼き加減をチェックしながら、ボウルに3つの卵を割り入れて混ぜる。

「……いい匂いする」

そんなこんなしているうちに遥輝が起きてきた。刈り上げていない部分に寝ぐせができている。黒縁メガネをかけ、顔も少し浮腫んで完全にオフ状態だ。

『おはよ。朝ご飯和食にしたけどいい？』

「おはよう。天才やな」

『……いいんやね』

口だけは達者やったみたい。こんなの天才でも何でもないよ。そろそろ魚が焼き上がっただろうか。

『いい感じ』

独り言が漏れた。四角いお皿に鮭を乗せる。お味噌汁もいい塩梅に出来上がった。