Aimer Ⅱ (ページ6)

今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:174,353 hit

＊ページ6

.

偶然か、必然か。

「じゃあ2人とも気を付けてね」

『うん』

まさか泣けるほどに遥輝を想う日が来るなんて、そんなの、考えもしなかったんだよ……

「今日の話は3人だけの秘密にしようね。澪も黙っててほしい」

「もちろん！」

晩ご飯を食べて後片付けをして、みおりんと一緒にざわくんの家を後にする。明日は平日だ。まだ高校生のみおりんは学校で、数ヵ月後には受験を控える。

『どうぞっ』

「お願いします！」

みおりんを責任持って自宅まで送るのは私の役目だ。

『それじゃあ行こう！』

.

彼女ができました、と紹介された時はたまげた。冷静に考えて24歳になる男が17,18の女子高生を連れて来た。しかも制服姿でやって来た。

歳こそ被らないものの、同じ高校の後輩と付き合うなんて犯罪臭も甚だしい。

「Aちゃんと恋バナできて嬉しかったあ」

『そう？それなら良かった……？』

「私Aちゃんは恋愛に興味がないのかなって思ってた。だから1人の男性を想うAちゃんが可愛くて仕方なかったよ」

でもみおりんは高校生だけどしっかりしている。亭主関白なざわくんを愛らしさでメロメロにする。ざわくんの彼女を大切にする気持ちも伝わってきた。

今では東海オンエア全員が2人の行く末を応援している。

「ねえAちゃん」

『ん？』

「私Aちゃんとざわくんに比べたらまだまだ子供だから気の利いたアドバイスなんてできんよ？」

でも、とみおりんが語気を強める。

「話は沢山聞くからね！
Aちゃんが大切に思う人の話、沢山聞きたい！」

『……んふふ、ありがとう』

無邪気に笑いかけてくれるみおりん。目を輝かせて乙女だなあ。

「私もざわくんの話沢山する！」

『うん、2人で恋バナ沢山しようね！』

.

「Aちゃんありがとう！またね！」

『またね！』

無事に届けた。これから自宅までかれこれ10分ほど、1人でドライブだ。

まさか遥輝を好きになろうとは思わなかった。むしろ好きになっちゃいけないと思っていたし、なるはずがないと信じて疑わなかった。

でも久々に会った彼はスターに呼ばれるようになっても変わっていなかった。……私が知っている西川遥輝だった。

『はあ……』

それゆえに、悩んでしまう。好きと言ってしまえば今度こそ関係は崩れるんだろう、と。