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タクシーが店の前で止まる。遥輝が予約していたらしいお店は宣言通りの焼肉屋さんだった。
『うわあ……』
メンバーとも焼肉によく行くけど、飾りに"高級"が付くようなお店には滅多に行かない。本当に特別な日にしか行かない所に連れてこられるとは、この人達相当稼いでんのかもしれへんな……
「ほら、はよ入るで?」
『あ、うん』
プロ野球選手の時点でそんな気はしてたけど。
「予約してた西川ですけど……」
「お待ちしておりました。席までご案内します」
中島さんと遥輝の後で個室の中へと入った。
「Aは俺の横やで!」
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「Aちゃんは何飲む?」
卓さんにメニューを見せられてうーん、と眺めるA。その目線は酒に向けられている、俺らはもう、未成年やないんやな、と実感させられた。
「カシスオレンジとかやないん?」
『それもええけど最初に飲むもんではないと思う。うん、ビールでお願いします』
普通男と食事行くってなったら甘いチューハイでも飲んで、可愛い子アピールでもしそうなもんやけどな。どうやらAにその気はないらしい。
「遥輝は何飲む?」
「俺もビールにします」
「じゃあ全員ビールでいっか」
卓さんはタッチパネルを操作し、ビールだけやなくいくつか肉を選択している。
「Aちゃんは食べる方?」
『まあまあ食べます。あっ、ご飯お願いします!』
「俺も!」
「了解」
まとめて注文し、一段落した。
隣に座らせたはいいものの、Aはなかなか俺の方を向いてくれへん。ずっと卓さんの方を向いてはニコニコして、卓さんもそんなAが可愛くてしゃあないのか頬を緩めたまんまやった。
「そうだ、俺のこと中島さんって呼ばんでいいよ?」
『いいんですか?』
「多分Aちゃんとはこれから先も関わる機会があると思うけん、卓さんって呼んでほしい」
『じゃあ卓さんと呼ばせてもらいます!そうや、 LINEも交換しませんか?』
「よかね! しようしよう!」
2人がスマホ片手に盛り上がる。俺は1人蚊帳の外で輪っかの中に入ることができない。
普段やったら突入していけるんやけど、兄妹のような独特の雰囲気に着いていけへんかった。
卓さんはいつの間にかAちゃん呼びになっとるし、Aも普通に受け入れとる。
ほんの1mmやけどモヤモヤした。
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あおやなぎ(プロフ) - はるちゅんさん» ありがとうございます(^^) これからじゃんじゃん進めていくので楽しみにしていてください〜! (2019年9月1日 23時) (レス) id: c05e59e944 (このIDを非表示/違反報告)
はるちゅん(プロフ) - うおっ、最強!更新頑張ってください!お気に入りに入れます! (2019年9月1日 22時) (レス) id: 3445983938 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおやなぎ | 作成日時:2019年8月29日 22時