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ゾッとした。爽やかさんも爽やかさんで嘘やん、と戸惑いを隠しきれていない。
「Aちゃん、マジで4月1日なん?」
『マジ。93年の4月1日』
「俺93年の4月27日なんすよ」
約4週間しか違わないのに後輩なのか……
『しゃあない。タメでいいしAちゃんでええよ』
「よっしゃ」
「良かったね」
慎吾くんは人懐っこい笑顔で雄也くんの腕をつかんで揺さぶった。犬みたいや。
いつの間にかAちゃん呼びになってたのはビックリやけど、ざわくん以外のメンバーもA呼びやし全然許せる。むしろ1学年下で4月生まれやったら年齢だけ見れば友達みたいなものだ。
「そんな簡単に許可すんなや……」
なぜか遥輝は拗ねたけど、まあ、いいや。
「てかAちゃん4月1日やったら、遥輝さんと1年近く違うやん」
『そうやねん! 私どっちかというと慎吾くん寄りの人間なの!』
中学校の出席番号は50音順だったけど、小学校は生年月日の順で組まれていた。遥輝は92年の4月16日生まれだからクラスで1番歳を取るのが早かったし、出席番号もほぼ1番だった。
対して私は早生まれを極めし4月1日だ。絶対に1番最後だったから、出席番号への楽しみはほとんどなかった。クラス替えは楽しみだったけど。
『生年月日は慎吾くんと近いのに、学年は遥輝と一緒ってなんか損をしてる気分やねん……』
「ええやん、俺と同じ学年やで? 楽しかったやろ」
信号が赤になってブレーキがかかる。遥輝はドヤ顔で見下ろしてくる。
『ムカつくからその顎髭抜いてやりたい』
「ぷっ」
慎吾くんが吹き出す。
「やめろ!」
「Aちゃん最高」
「遥輝を上手く扱ってる女の子はAちゃんが初めてだ」
雄也くんも感心したようにニコニコしていた。
でも否定できないのが悔しい所だ。疎遠にはなったけど、遥輝のいた4年間はめちゃめちゃ楽しかった。
中学時代なんて社会の先生やった担任から”
私の野球観戦好きは彼から来ているといっても過言ではない。
『青なったよ』
「ほんまや」
ゆっくりとアクセルを踏んで発進する。大雑把そうなのに意外と優しい運転を心がけてくれる所、結構好きだ。
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あおやなぎ(プロフ) - はるちゅんさん» ありがとうございます(^^) これからじゃんじゃん進めていくので楽しみにしていてください〜! (2019年9月1日 23時) (レス) id: c05e59e944 (このIDを非表示/違反報告)
はるちゅん(プロフ) - うおっ、最強!更新頑張ってください!お気に入りに入れます! (2019年9月1日 22時) (レス) id: 3445983938 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおやなぎ | 作成日時:2019年8月29日 22時