検索窓
今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:203,270 hit

ページ20

·


いくら何でもハードすぎるだろう。



『私遥輝ほど運動できませんけども……』


「そない激しい筋トレはせえへんよ? ただ軽く体動かしたいなあ思うて」


『1人で行け』


「寂しいこと言うなよ」


寂しくなんてないやろ。24歳男性が何を言うとんねん、と突っ込みたい。



「とにかく、すっぴんでええからはよ荷物まとめて下りてこい」


ほな、と切れた電話。ツーツー、と通話終了の音が虚しく鳴る。何で頼む方やったのに最後は威圧的になってまうのやろう。とりあえず眉ティントしといて良かった……

仕方がないのでサッサと荷物を片付けて、ある程度のものをスーツケースの中に入れる。まさか札幌まで来てジムに行くのは頭になかったから、もちろん運動着は持ち合わせていない。



『あー、もう!!!』


のんびりしたかったな!!! まったりしたかったな!!!

もうやけくそだ。ヤニ臭くなったコートに消臭スプレーを吹きかけ、私はスーツケースを引きずって部屋を後にした。


·



『……おはよう』


遥輝のバカ。そんな気持ちを込めて、悠長にお茶を飲んでいる後ろ姿にグーパンチする。



「っ、痛っ! 何やねん!」


『こっちのセリフじゃボケ』


ほんまに……
フロントのおばちゃん笑ってもうてるやん。会計やら鍵の返却やらを済ませ、戸惑いを隠せていないやつの元へ戻る。



『1人でジムも行かれへんのか』


「……行けるけど。もう1人おった方が頑張れるやん」


遥輝は拗ねたようにそっぽを向く。



『でも岡崎から札幌来てジムに行かなあかん身にもなって?』


のんびりした後は美味しいご飯に舌鼓して、時計台の他にも近場の観光地に行って軽く撮影する予定やった。楽しい1日が待っていたはずなんよ。



「ごめんて! 空港まで送ってくから許してや!」


『海鮮丼、もしくはカニ』


「分かった! 奢る!」


『時計台も行きたい』


「連れてく連れてく!!」


『じゃあ、一緒に行ったるわ』


でも最終的に許してまうから、相手に好き放題やられるんやろうな……



「ありがとう!!!」


遥輝はでっかい体で体当たりしてきて、ギューッと私の背中に手を回した。身長差は28cm。体重に至っては2倍近くの差がある。



『いだい……! ギブ!』


「よっしゃ、行こか! スーツケース持つわ!」


こうして私は流されるがままに遥輝の車に連行された。

*→←かごの中の鳥



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (60 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
260人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あおやなぎ(プロフ) - はるちゅんさん» ありがとうございます(^^) これからじゃんじゃん進めていくので楽しみにしていてください〜! (2019年9月1日 23時) (レス) id: c05e59e944 (このIDを非表示/違反報告)
はるちゅん(プロフ) - うおっ、最強!更新頑張ってください!お気に入りに入れます! (2019年9月1日 22時) (レス) id: 3445983938 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あおやなぎ | 作成日時:2019年8月29日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。