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いくら何でもハードすぎるだろう。
『私遥輝ほど運動できませんけども……』
「そない激しい筋トレはせえへんよ? ただ軽く体動かしたいなあ思うて」
『1人で行け』
「寂しいこと言うなよ」
寂しくなんてないやろ。24歳男性が何を言うとんねん、と突っ込みたい。
「とにかく、すっぴんでええからはよ荷物まとめて下りてこい」
ほな、と切れた電話。ツーツー、と通話終了の音が虚しく鳴る。何で頼む方やったのに最後は威圧的になってまうのやろう。とりあえず眉ティントしといて良かった……
仕方がないのでサッサと荷物を片付けて、ある程度のものをスーツケースの中に入れる。まさか札幌まで来てジムに行くのは頭になかったから、もちろん運動着は持ち合わせていない。
『あー、もう!!!』
のんびりしたかったな!!! まったりしたかったな!!!
もうやけくそだ。ヤニ臭くなったコートに消臭スプレーを吹きかけ、私はスーツケースを引きずって部屋を後にした。
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『……おはよう』
遥輝のバカ。そんな気持ちを込めて、悠長にお茶を飲んでいる後ろ姿にグーパンチする。
「っ、痛っ! 何やねん!」
『こっちのセリフじゃボケ』
ほんまに……
フロントのおばちゃん笑ってもうてるやん。会計やら鍵の返却やらを済ませ、戸惑いを隠せていないやつの元へ戻る。
『1人でジムも行かれへんのか』
「……行けるけど。もう1人おった方が頑張れるやん」
遥輝は拗ねたようにそっぽを向く。
『でも岡崎から札幌来てジムに行かなあかん身にもなって?』
のんびりした後は美味しいご飯に舌鼓して、時計台の他にも近場の観光地に行って軽く撮影する予定やった。楽しい1日が待っていたはずなんよ。
「ごめんて! 空港まで送ってくから許してや!」
『海鮮丼、もしくはカニ』
「分かった! 奢る!」
『時計台も行きたい』
「連れてく連れてく!!」
『じゃあ、一緒に行ったるわ』
でも最終的に許してまうから、相手に好き放題やられるんやろうな……
「ありがとう!!!」
遥輝はでっかい体で体当たりしてきて、ギューッと私の背中に手を回した。身長差は28cm。体重に至っては2倍近くの差がある。
『いだい……! ギブ!』
「よっしゃ、行こか! スーツケース持つわ!」
こうして私は流されるがままに遥輝の車に連行された。
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あおやなぎ(プロフ) - はるちゅんさん» ありがとうございます(^^) これからじゃんじゃん進めていくので楽しみにしていてください〜! (2019年9月1日 23時) (レス) id: c05e59e944 (このIDを非表示/違反報告)
はるちゅん(プロフ) - うおっ、最強!更新頑張ってください!お気に入りに入れます! (2019年9月1日 22時) (レス) id: 3445983938 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおやなぎ | 作成日時:2019年8月29日 22時