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似た者同士(yb+ym) ページ5

「ねぇ、宏太
宏太は俺の恩人なんだ」

突然涼介が食事を終えてレストランを出るとそんな事を言い出した
理由を尋ねても「秘密」としか言わない
そんな姿を愛らしいと思った

涼介の前で、俺は貼り付けた『笑顔』を
いつの間にかしなくなっていた
素顔は素っ気なくて愛想もない
そんな俺の顔を、涼介は『素敵』だと
何度も言ってくれた

涼介を送るのに走る車の中で
涼介はとても美しくて、儚かった
消えてしまいそうな、
そんな存在

「ここ、俺の家」

案内通りに着いたのは1件のホテル
所謂ラブホテルと言うもので
昔散々お世話になった場所でもある

「悪い冗談よせよ」

嫌な思い出が蘇り声が不機嫌へと変わる

「冗談じゃないよ、俺はココなの」

涼介がそう笑う
とても切なそうに
時刻は夜の9時

涼介の携帯が音を立てる

「宏太、終わり
俺、帰らなきゃいけないや」

そうやって少し寂しそうに笑う

「帰るって…」

過ぎるのは過去の自分
何処かわかる気がする先の展開

「涼介、体…売って…」

言葉に詰まる俺とヘラりと笑う涼介

「やっぱ、宏太はわかるね
だって俺たち同じだもんね」

その言葉にドキッと心臓が跳ねる
何故、涼介は知ってるのか
伊野尾との関係が出来た際に
伊野尾が『俺以外の奴と寝るな』
そう言った
伊野尾は、客の中では優しくて
置き去りにさられる事無く目覚めを待っていてくれた
だから『わかった』と業界から足を洗い、
好きだったカフェでバイトを始めた

髪型も変えたし、顔立ちも変わった
しかもカフェだから当時の客と出くわす事はなかった

「お前、なんで…」

何で涼介は俺の昔の事知ってるんだ
そんな疑問と共に涼介を掴む腕に力が入る

「言ったじゃん
宏太は俺の恩人だって」

そう言うと涼介が車のドアに手をかける

「涼介、待てって」

涼介の携帯は鳴り止む事はない
俺は込み上げる怒りに涼介のポケットに入っている携帯を無理やり取り上げると

「うるせーんだよ、諦めろクズ」

そんな暴言を吐いていた

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作者名:Kanata | 作成日時:2019年7月18日 15時

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