関係(inyb) ページ1
愛って何だろう
好きになるって、どうゆう事なんだろ
初めはただ傍に居てくれる人
温もりをくれる人
案外心地よくて、抱かれる事には抵抗あったけど
それでも伊野尾は優しくて、それでいて…
ゾクリと背筋が凍る、そんな目に
俺は堕ちてたんだ
「宏太」
バイト先のカフェ
人の居ない時間、
1人の時いつも伊野尾はやってくる
不躾で乱暴でそれでいて堕ちてしまうキス
熱くなる体を、ポーカーフェイスでやり過ごす
「部屋で、待ってるから」
そう残し去っていく
キスだけで砕け落ちる
そんな感覚に慣れ始めながら、
俺は何となく流されていた
愛って何だろう?
何度も重ねた体
乱暴にも優しくも何度も堕ちていく
そこに愛ってあるのかな?
伊野尾に見え隠れする、別の人の影
時折伊野尾じゃない香水の香り
それでも、傍にいてくれる
それでも、温もりをくれる
それでも、俺の髪を撫でてくれる
それだけで充分で、それが『愛』だと
何度も言い聞かせていた
体を重ねた翌日
腰は辛い
昨日の伊野尾はとても乱暴だった
けれど意識を失う寸前
伊野尾は優しく『宏太』と呼んだ
カフェは女性客で溢れる人気の店
接客なんてした事はなかったけど、
容易く出来てしまったのは
染み付いたこの『笑顔』のせいだ
『アドレス教えて』
『デートしよー』
『彼女いるの?』
そんな質問に笑って
「いやー彼女が嫉妬しいで」
って交わしているけど、実際女の立場になっているのは自分な訳で
それに伊野尾からの『愛』は、
体の関係を続けて2年たつが
言葉にされた事はない
「やぶ、これAの8テーブルね」
キッチンから店長の声
この店自慢のナポリタン
まぁ俺的にイチオシなだけだけど
「あ、はい」
体を動かす度に腰が悲鳴をあげる
昨日はちょっとキツかった
次会ったら伝えよう
そんな事を考えながら得意の
ポーカーフェイスと『笑顔』でテーブルへと運ぶ
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作者名:Kanata | 作成日時:2019年7月18日 15時