ヒロインはやっぱり私じゃない(確信)【ヒロアカ】 (ページ29)

今日:11 hit、昨日:180 hit、合計:337,950 hit

第77話ページ29

モニター上では白熱した試合が繰り広げられている。
第２種目はクラス混合騎馬戦。

そしてこの部屋でも、私とリカバリーガールのタイマン(診察)は、激戦(問診)を極めていた。

『失神!? え、私が失神したんですか!?』

「そんな阿呆が他に居ると思うのかい？」

『居ないんですね！ですよね！』

我ながら舐めた体質だと思う。

それでもおかしいな……。私の記憶では、たしかに緑谷くんに一言言ってから、近くのスタッフに名乗り出たところまであるんだが……。

『記憶違い……？いやでも、たしかに自分から……』

「多分、記憶障害が起きてるね」

『……そんな簡単に起きていいんですか……』

考える素振りを見せたあと、リカバリーガールはポンと手のひらに一つ拳を置いた。

「よっぽど、お前さん過去に高い所で嫌な目にあってるんじゃないかい？何かトラウマになるような事が、こうまでなるほど拗らせたかもしれない」

『なるほど……』

怖い思い出が無いこともないが、特段思い当たる節は見当たらない。

「相当なストレスを与えた記憶は忘れられているだろう。解離性健忘という、ちゃんと存在する病気さね」

『……マジすか』

「まじまじ」

女医からの思わぬ宣告に空いた口が塞がらない。
ぼーっとしていた頭に、突然吃驚するほどの大歓声が飛んできた。

《逆転ーー!! ライン際の攻防、その果てを制した轟が1000万!! そして緑谷、急転直下のゼロポイントー!!》

モニターから一際大きな歓声に混じり実況が聞こえてくる。
轟チームが緑谷くんの1000万ポイントのハチマキをいつの間にか奪取したらしい。

『なに？見てなかった……えっ、残り1分!?』

「ほっほ、若気の至りだねぇ」

この時点で1位は轟くん、2位が物間、3位が鉄哲、4位が拳藤。緑谷くんとかっちゃんのチームは両者共に0ポイント。

予想外の展開に驚くあまり、モニターから目が離せなくなった。
まさか、あのかっちゃんまで負けてるなんて。
しかし残り1分。そこからの追い上げが凄まじかった。

余裕を見せていた物間の背後に、かっちゃん(鬼の形相)は単体で飛び出し、力づくでハチマキを取った。
ここで順位が入れ替わり、爆豪チームが3位に。

容赦ない戦法を執るかっちゃんは恐ろしい速さで物間チームのポイントを奪取し、最終的には総ざらいしてしまった。

『かっちゃんすご……滅茶苦茶だけど』

「おや、あの子のこと好きなのかい？」

『それはないです』

「あれま」