ヒロインはやっぱり私じゃない(確信)【ヒロアカ】 (ページ27)

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第75話ページ27

「死ぬかーーー!!」

『潰されてたの切島くん!?』

思わず突っ込みを入れてしまった。
確かに、硬化できる彼ならロボに潰されても心配ないが、あんなに元気よく出てこられると妙に面白い。
ロボの下から勢いよく出てきたのは1人だけでなく、鉄のような身体をした男子もいた。どんだけタフなんだ。

この場の誰かが協力しようと声を上げたとき、後ろから爆発音がした。
上空を飛んだ何かは、かっちゃんだった。
爆破で飛んでロボの頭上をいくつもりだ。

『すご……頭いいなぁ』

それに便乗するように常闇くんと瀬呂くんもロボを飛び越えていった。
負けじと他のクラスメイトも、それぞれの“個性”で突破していく。

私は両手の平を構えた。
それなら、ちょっとやってみようかな。

『風速10………いや12？』

瞬間、地面をえぐるような風が起きる。
曖昧な言葉と共に放たれた暴風は、ロボをドミノ倒しのように数体倒れさせた。
大きな音とともに強い土埃が吹き立つ。

＊

_____ナレーションのプレゼント・マイク(とイレイザーヘッド)は、賑やかに解説をしていた。

《お？ここで1-A 工藤A、強風を吹かせ一度にロボ5、6体を牽制したー!! 目立たない奴がこう派手にやると、なんかシビれるなー!! イレイザー!!》

《痺れねぇ》

イレイザーヘッドもとい相澤消太は、映像に映る少女に目を細めた。

＊

『………ロボ以外もふっとばしちゃった』

ロボは倒せたものの、前に走っていた人たちを吹き飛ばしたり周りの木を折ったりしてしまった。
とりあえず道が開いたので、ヨシ。

『通っていい、よな……』

思わぬ大漁に少し戸惑いつつも、そそくさと通り抜けた。
走り始めて少しして、緑谷くんの呼ぶ声がした。
振り向くと、彼はロボの装甲の一部を抱えながら走っている。……なぜにそれを？

「Aちゃんさっきのすごかったね！風で仮装ヴィランまとめて一掃しちゃうなんて！」

緑谷くんは目を輝かせていた。眩しい。

『いや、ちょっと被害出しちゃったけど……で、その持ってるの何』

「どこかで使えると思って！」

『へぇ……』

確かに防御なら使えそうではある。でも走りながらこれ抱えられるのか？

_____なんて、
このとき私は、緑谷くんの咄嗟の判断能力と頭の回転の速さを忘れていた。
そうレース終盤、彼はやってみせたのだ。

《___さァさァ序盤の展開から誰が予想出来た!? 今一番にスタジアムへ還ってきたその男____緑谷出久の存在を!!》